仕事 ページ13
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「お騒がせしてすみませんでした」
周りの社員さんや、警備員さんたちに頭を下げ、みんなに持ち場に戻ってくださいと告げてから、自分も職場に戻った。
時々、こんなヘビーな苦情対応がガツンと入ってきて、こういう時は正直つらい。
お客様にすれば、うちの局で放送している番組への意見はうちの局に伝えるしか術はない。
熱心に伝えようとすればするほど、感情が昂ぶって口調が激しくなってしまう人もいる。
言い方だって、人間だから、何度も同じ話を繰り返したり、嫌な言い方をしてしまったりもあると思う。
そんな言葉の中から、本当にお客様が言いたいことを取り出して担当部署に伝えるのが仕事だから、厳しいご意見を悔しいとか悲しいとか思ったら感情に囚われて仕事にならない。
中には私たち女性社員に対して、中傷的な暴言を吐く男のお客様もいる。
だけど、「仕事に男も女もないんだから、何を言われても気にしない。どんな相手がお客様でも、私たちは人として恥ずかしくない対応をすること」という先輩の女性社員たちの教えを胸に、お客様の方から「他の奴に変われ！」と言われない限り、基本は自分で最後まで対応する。
最初の頃は、何か言われる度に涙をこぼしていた私も、今ではその感情を自分の中に封じ込めて、どんな罵声を浴びせられても泣かないで対応できるようになった。
例え、脅されても、恫喝されても、局の人間として譲れないものは譲れない。
最後まで説明責任を果たす。
それが、私の仕事―――。
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室長からは、“お客様相談室に配属されたからには、苦情やトラブルの対応については他の社員の見本となりなさい”と常々言われている。
私たちの対応が良ければ、それに牽引されて社全体の対応がよくなっていく。
逆に言うと、私たちの態度が悪ければ、他の社員たちの態度も悪くなるということだから、絶対に人前で感情的になる訳にはいかない。
でも…
さすがにそんな理想論だけで割り切れないことも、本当はたくさんあって。
最低限の相手への気遣いのある厳しい言葉ならいくらでも受け止められるけど、相手の人格を無視したような罵声交じりの暴言は、正直腹も立つし凹んでしまう。
こんな人にこんな風に言われて、どうして我慢しなきゃいけないのと悔しくもなる。
特に、そんな暴言を今日みたいに大声で一方的に言われると、その間は気が張って感情を押さえこんでいるけど、終わるとドッと疲れてしまう…。
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作者名：kico
| 作成日時：2014年11月7日 16時
