タネあかしを二人で Act1【KN】 2010.8-2011.2 (ページ1)

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休憩室ページ1

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休憩室のガラスドア越しに、中に人が居るのかどうかをそっと確認した。

少し猫背ないつもの後ろ姿を窓際に認めて、「ああ、まただ…」とため息が出る。

でも、ここで知らん顔をする訳にはいかないから、思いっきりガチャン！と派手な音を立ててドアを開けた。

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入社して６年。

当時は今よりも不況の風が吹いていて、憧れのテレビ局に事務職で入社できた時は、夢かと思ったっけ。

配属されたのは、総務部お客様相談室。
電話や来訪のお客様のお話をうかがって、必要に応じてご説明やご案内をしたり、担当課にご意見をお伝えしたりするのが仕事。

どんな相談を受けるんだろうとワクワクしていたのは、ほんの数週間で…すぐに、実際はほとんどが苦情やトラブル対応だという現実を見た。

配属が決まってすぐは正直凹んだけれど、実際やってみると、嫌いな仕事じゃない。
多くのお客様は、こちらが誠意を持って対応すれば、わかってもらえる。
時には最後に「ありがとう」と言ってくださる方もいる。
その一言で救われる。

だけど、その逆もあって…
その場合は、どう対応しても納得してもらえない。
暴言を吐かれる場合もある。
なかなかシビアな仕事だ。

お客様相談室は、もともと総務部総務課庶務係の中にあったこともあり、本来の仕事に加えて雑用雑務が多い。
スタッフ全員が、相談業務以外の雑務を何か兼任していて、社内の会議室やこの休憩室の管理は、私の兼任業務のひとつ。
特に、休憩室は休憩時間だけ開けているので、休憩時間が終わったら鍵をかけて施錠しなければならない。

休憩室といっても、ただ長机とパイプ椅子３個のセットが２組あるだけの狭い部屋だ。

使えるのは基本的には休憩時間だけで、使用対象はもちろん社員のみ。
例外として、管理をしているうちのお客様相談室の室長許可があれば社外の人も使えるけど、そんな人は今までいないし、そうまでして使いたくなるような部屋じゃない。

だから、結局は１２時から１３時まではお弁当持参の社員が数人使っている程度で、他の時間帯に使っている人は、これまでいなかった。

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