おかえりなさい。【KN】 2014.9 (ページ9)

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チクチクページ9

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『えー、さっきからの話を総合するに…
　Aは、キラッキラの二宮サンをDVDで見るのは好きなのに、ライブだと他に周りにファンの子たちがいっぱいいて、居場所がなくてふさわしくないって思うワケでしょ？
　…どーみても、それって、ヤキモチ妬いた時の心理そのままだからね』

和也に勝ち誇ったようにニヤニヤ笑われて、一気に恥ずかしくなった。

『///！…違うよ、そ、そんなんじゃなくて…！』

慌てふためく私とは対照的に、和也はますます嬉しそうに私を見た。

『いーやいや、わかってますって。
　そのくらいのヤキモチ？独占欲？…アナタ、そんなの可愛いもんだよ？
　そりゃー、縛られるのはワタシ絶対に無理ですけどね。
　でも、最近さ、A、物わかり良すぎ。
　男からしたらさ、むしろ、そんくらいならいつでも来いって感じなんですけど』

『…だから、そういう話じゃない…の…に……』

否定しながらも、

“ヤキモチ”

“独占欲”

和也のその言葉が、なぜかストンと胸に落ちていく。

『あれー？…そーいう話じゃないの？ホントに？』

『……』

涙が勝手に込み上げてきた。

そっか…
そうだね。
モヤモヤしてたのは、これだ。

＋＋＋

和也と付き合い始めて、嫉妬なんて感情がこんなに扱いづらいものだと知った。
最初の頃は、お互いに嫉妬に駆られて大喧嘩したこともあった。

今でも和也は、ここぞ、と言う時には感情を上手にぶつけてくる。
だけど…
私は和也みたいに、うまく気持ちを伝えられない。
ぐずぐずとヤキモチ妬いたり縛ったりして、絶対に和也の重荷にはなりたくない。

でも、和也にその気はなくても、女性の共演者さんとかスタッフさんたちがこれみよがしに連絡してきたり親しそうに見えたりすることが、やっぱりあって。
そんな些細なことでも、時々チクチクと胸に棘が刺さるような痛みが走る。

そう…
この胸の痛みは、その棘と同じだ。

キラキラしてるアイドルの和也を独り占めなんて、絶対にできない。したくない。

わかっていて不特定多数の人にまでこんな感情を抱いてしまう醜い自分を認めたくないから、ずっと理屈をつけて勝手にモヤモヤしてたのかもしれないね。

＋＋＋