おかえりなさい。【KN】 2014.9 (ページ5)

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勝てないページ5

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『ね、A、二宮サンがこんな大盤振る舞いなんて、次はいつかわかんないよ？』

『……』

『ライブだって、A今まで一度も見に来たことないじゃん。
今回は…今回「も」？か。とにかく、嵐さんチカラ入ってんだよ？』

『うん…それは知ってる』

和也なんて、アルバムの曲を作りながら、新春ドラマの撮影もしながら、ハワイの準備してるんだもん。
レギュラー番組だってある。
仕事の話はしないけど、一生懸命ＭＡＸで頑張ってるの、ちゃんとわかってる。
もちろん、それはきっと他のメンバーさんもそうに違いない。
私は外から見ていることしかできないけれど、和也たちは、そういうグループだと思う。

『で？…なんで“絶対ダメ”なの？』

『……』

『ライブのオレ、見たくない？』

ふるふると、ブランケットの中で首を横に振る。

『…んじゃ、一度くらい、彼氏の一番カッコいいトコ、ナマで見てくれたっていーでしょーよ？
どっち？…見たいの？見たくないの？』

『見たいよ…』

ブランケットから顔を出す。

『すっごく見たい…けど…
…その、仕事がね、いますごく忙しくて。休めそうにないから行けないよ。
ごめんなさい…』

そうだ、仕事が忙しいのは本当。
嘘はついてない。

だけど、それとは関係なく、やっぱり行けないよ。

だって…

『…かー！仕事かー！…あーそりゃー難しいな。えー？そっか仕事！』

和也は一度天を仰いでから、私の髪にバフッと顔を埋めた。

『うん…』

『…仕事ね』

『せっかく誘ってくれたのに…』

『仕事なら、仕方ない。うん』

『ごめんね…』

『……』

『……』

『…なんて終わらせると思った？』

耳元でいきなり低い声が聞こえたかと思うと、和也はため息をついて、顔を上げた。
私を軽く睨んでいるのに、乱れた前髪が目にかかって不意打ちにカッコよく見えて、こんな時でもドキッとしてしまう。

『…///…え？』

『誤魔化そうとしても、ムダ。
本当に仕事が理由ならちゃんと聞くけど、今の違うよね。
正直に、ちゃんと言わないとオレ納得しないよ？
んなの、Aが一番良く知ってんでしょ』

『う…』

『…言わないと、どーしよっかなー…、あ、言うまでスル、なんてのアリ？』

『ちょ、ちょっと、何バカなこと…///！！』

『もー声、完全に出なくなるかもなー。ま、オレは構わないけど…』

和也がニヤリと口角を上げる。

ダメだ…誤魔化せない。
スイッチが入った和也には、やっぱり絶対に勝てない。

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