おかえりなさい。【KN】 2014.9 (ページ25)

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帰還ページ25

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和也が帰って来るまで、あと１時間近くある。

国際便って、たしか機内食っていうのが出るんだったっけ…？

一度も海外に出た事がない私には、状況がよくわからない。
食べて帰って来るかもしれないけど、和食が恋しかったりするなんて言うよね…。
一応、簡単な煮物とお味噌汁だけは準備した。

お風呂も掃除したし、部屋の片づけも終わった。

最後に洗濯した大きなタオル類は全部仕舞ったし、キッチン用のタオルを畳んでテーブルに置いて、とりあえずひと段落。

穏やかに過ごしていた分、和也に会いたい気持ちが急に加速して、胸がドキドキと落ち着かない。

焦っても時間が早く進むわけじゃなし。

とりあえず一息ついて、話したかったこととか頭の中で整理しておこう…。

『オレ、あんま食器とか使わねーからさ、食器棚のスペースもったいないじゃん。Aの好きなの置いてていーよ』

そう言われて、和也の食器棚の奥には、お言葉に甘えて私のお気に入りのティーセットを置かせてもらっている。

そうだ、それでお茶でも飲もう…

と、ティーポットとカップ＆ソーサーをカチャカチャ取り出していると、玄関の方からガチャッと鍵が開く音がした。

え？

ええっ！？

…まさか、もう？

えっ…？

半信半疑で廊下の方を見つめていると…。

パタパタと足早に廊下を歩く音がして、「はー、疲れたー！」と待ち人がリビングに現れた。

「か…和也…！？」

よいしょ！…とおじさんみたいな声を出し、和也は普通に仕事から帰ってきたようなテンションで、１０泊分にしては小さめな旅行鞄をいつものように床にドサッと無造作に置く。

それからゆっくりと振り向いた和也に、私は両手にティーセットを持って硬直したまま、呆然と口を開いた。

「お、おかえり…」

…和也が帰って来たら、しっかり顔を見て声が聞きたい…って。

あれも言おう、これも言おう…って、あんなにいろいろ考えていたはずなのに…。

「ただいまー」

急な帰還に驚きすぎて、今はまったく頭に出てこない…。

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