余韻 ページ23
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その後、どうやって家まで帰ったのかあまり記憶がない。
気が付いたら、リビングのテーブルの前で、スマホをぼーっと見つめていた。
指で触れると、待ち受け画面の和也が、爽やかに微笑んでる。
のろのろと立ち上がり、テーブルに置いたノートパソコンを開いて、電源を入れた。
さっき開演前に、映画館の廊下でスマホで見つけたブログをもう一度探し出すと、すぐに見つかった。
そのブロガーさんも和也のファンの人で、詳しく昨日の和也の様子を書いてくれている。
読み進めていくうちに、胸が一杯になった。
このブロガーさんが、和也のことが心配で見守っていた様子が手に取るようにわかる。
私がもしこの場にいたら、同じように心配で心配でたまらなかっただろう。
そして、最後まで“アイドル二宮和也”を演じ切った和也。
最後、後半全てをやり遂げて、メインステージ隅の方で“やったー！”と小さくガッツポーズをするところまでが、愛情をもって克明に書かれていた。
ブロガ―さんは、こう締めくくっていた。
本当に体調不良だったかどうかはファンの憶測に過ぎないけれど、もしそうだと仮定するならば、あそこまで頑張った和也は本当にすごいと…。
そんな和也のファンになって本当に幸せだと…。
そんな昨日があっての、今日のパフォーマンス。
いくつか同じようなレポを書いているブログを見つけて、改めて和也が愛されているんだなあ…と思う。
そして、その愛情を、メディアだけでなく、こういうライブでファンの人たちに返してるんだなあ…と思う。
私が好きになった二宮和也という人は、本当に素敵な人だ。
そんな和也を好きだという自分の気持ちが、今、とっても誇らしい。
＋＋＋
もうすっかり日は暮れていた。
何時かな？
和也たちは、今ごろまだ打ち上げ中？
…あ、和也にLINEしなきゃ！
と、スマホを手に取った。
先に来ていた和也からのメッセージは、例によって一言だけ。
“無事終了ー‼”
ああ、やっぱり和也だ…
なぜだか、すごくホッとした。
同時に、スタンプはおろか色も音も動きも何もない、たった６文字のフレーズに
何となく和也の“出し尽くした”達成感のようなものが感じられるのは、私の気のせい…？
何だか嬉しくて笑いが込み上げて来て…
なぜか一緒に涙も零れてきて…
私は、一人で、笑って、泣いた。
ライブの余韻なのかな…？
それは、とても気持ちのいい涙だった。
＋＋＋
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作者名：kico
| 作成日時：2014年9月28日 15時
