じゃあ、だったらオレは。 ページ42
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「失礼を承知で言いますが、事務所の上層部の目には、二宮さんがまた新しい遊び相手に嵌っている程度にしか映らないのが現実です。
小笠原さんに対しては、尚のことです。
差し出がましくも私はまだ小笠原さんの人となりを多少なりとも存じ上げているつもりですが、上層部から見れば、二宮さんにとって悪影響があれば即排除対象と見做される目障りな存在でしかありません。
肝心の二宮さんが武器も持たずに感情論を振り翳しているだけでは、どうすることもできませんよ」
「は、何言ってんだか！当然でしょ。そんなの貴方に言われなくったってわかってるよ」
離すもんかとガキみたいにゴネてみたところで、何にも変わらない。
そんなあやふやな気持ちで事務所とやり合おうなんて思ってない。
Aはオレが守るって決めてる。
お偉いさんの出方次第で、正攻法でも外掘りを埋めるでも。
体裁やポーズで言ってんじゃない、オレが言ってんのは、もっと本質的な話で、つまり、こう……と、そこまで考えて…
はたと詰まった。
「……」
「二宮さんに明確なビジョンがなければ、嵐の一員として大事なものも、二宮さん個人として大事な存在も、自分の手で守り通すことができないのではありませんか？」
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車が減速しながら信号で止まる。
スモークを貼った窓の外は、夕暮れの街並み。
窓に引かれたカーテンの隙間からショーウインドウに写っているこの車と後続車の列に視線を遣りつつ、マネージャーの言葉を頭の中で繰り返した。
嵐の二宮和也として大事なものは、嵐であり、うちのメンバーや嵐を支えてくれてる人たちであって。
プライベートのオレ個人として大事な存在は、もちろんAだし、Aと一緒に過ごす日常を失いたくない、このままずっと守ってゆきたいと思っていて。
それは、どちらか一方があればいいとか、そーいうことじゃない。
オレにとってはその両方がそれぞれ他の何かには代えられない位置づけで、一緒に両立してなきゃ意味がない。
どっちも大切で、オレがオレである為には欠かせなくて…
だからこそ、オレが自分のすべてを懸けてでも守りたいものだと思ってて…。
じゃあ、どうする？
Aの手は絶対に離さない。
大事なものを…
大事な存在を守りたい。
だったらさ。
“明確なビジョン”……か。
………。
じゃあ、だったらオレは。
これから何を具体的にどうすんの――――？
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作者名：kico
| 作成日時：2017年9月27日 15時
