ごめん…。 ページ40
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「しかし、もし映像データも被害に遭っていればどうなっていたか。
利用履歴には同乗者の人数や性別、年齢層など、細かい統計情報が含まれており、“二宮さんが20〜30代の若い女性と2人でその夜から深夜にかけて自宅と繁華街を往復した”という情報は、利用履歴を読み解けば簡単に取り出せます。もしそれらが外に出てしまっていたらどうなっていたか。
嵐の話題なら何でも記事になる昨今、推して知るべしでしょう」
マジか…。
「情報屋のデータは、こちらで全て回収して破棄しました。
会社側もハッキングされた事実を重く受け止め、システムに二重三重のロックを行い、さらに万が一流出した場合に備えて履歴もデータも全て暗号化して管理することで部外者が容易に読み取れないようにしたと聞いています。
プライバシー厳守を売りにしているタクシー会社にとっては信用問題ですから、逆に今後のセキュリティは万全でしょう。
今回はレアなケースですが、つまり今の世の中、何が起こるか分からないということです」
……。
この人の指摘は、もっともで。
エレベーターの一件には触れずに、別件から持って回った言い方ばっかされてんのがすっげー引っ掛かるけど、でもあのオフの日のことがまさかそんな話になってるとは思わなくて、そこは素直に頭を下げた。
「ごめん…。リスクは想定して動いていたつもりだったんだけど…甘かったってことだよね…」
「……。二宮さん…」
前を向いたまま改まった声で呼ばれて、オレも神妙な面持ちで前に向き直る。
「はい」
「この情報化社会では、日常生活そのものが監視されているも同じです。情報が全く漏れない事が一番ですが、ハッキリ言って現実にはそれはまず不可能でしょう。
もちろん、大前提として細心の注意は必要です。しかし、どんなに注意していても、いつかは情報というものは漏れてしまう。
それを常に忘れてはならないと私は思います」
「……そーだね。
だから、その…今日みたいにうっかり誰が来るかわかんない状況で、あーいうのはダメだよってことだよね。それはオレも重々わかって…」
「常に警戒を怠ってはならない。それは当然ですよ」
「ごめん、だからそこはオレも反省して…」
「ですから、論点はそこではないのです」
「はあ！？」
持って回った話の行間を読んで素直に反省してる途中だってのに、何が言いたいのか、さらに遠回しな言い方で遮られて、さすがにカチンときた。
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作者名：kico
| 作成日時：2017年9月27日 15時
