……。だったら何？ ページ37
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メールを開いて文面を考えてはみたけど、ごちゃごちゃ書くより電話で直接話したい。
『さっきはごめん。仕事がいつ終わるかわかんないから、時間が空いたら電話する』と短く打って、送信。
こーいう時に時間が合わないってのはもどかしんだよね。
小さく溜息をつき、スマホをピンクのパーカーのポケットに仕舞ってゲームを再開したところで
「二宮さん、少し話をしていいですか？」
運転席からマネージャーが前を向いたまま切り出してきた。
あー、来たか。
ここは素直に聞くしかない。
「はい、どーぞ。…なんっすか？」
手を止めて、一応は姿勢正しくマネージャーの方を向く。
＋＋＋
「海外挙式の件、聞きました」
「…は？」
「来年の1月だそうですね」
てっきりAとの件で小言を言われるに違いないと構えてたのに、マネージャーの口から出てきたのは役者やってるあいつの話。
…なんだ、この肩透かし。
でも、小言なんて言われないに越したことはないから、はいはいと笑顔で頷いた。
「みたいだね。…って、え、他所のタレントさんなのによく知ってるね。どこ情報？」
「松本さんのマネージャーからです」
あー、なるほどそっちからか。
さすがだね。
この人も早ぇんだよなー…と苦笑する。
「出席に合わせて松本さんのオフの日を調整しているそうです。二宮さんも招待されているらしい…という話でしたが」
「あー。そーね、うん。
誘われたのは確かだけど、行かないよ」
「なぜですか？」
「なぜって…そりゃー貴方、いろいろだよ。海外なんてめんどくさいし、こっちでやりたいゲームだってあるし、」
「例の“ドレスコード”もありますからね」
…おっと。
意味ありげに続けられて顔を上げた。
ってことは、Jはマネージャーにその辺の事情まで話して出席するってこと。
ま、Jんとこも彼女の存在はマネージャー把握済だから驚くことでもない。
…つまり。
“全部知ってんだから、そこ適当に誤魔化すのはやめてくださいねー”ってことだよね。
だったら、ありがたくこっちも本音で。
「…あー言ってたね。でも、肝心のあのヒトが、ニッシーの結婚式と丸被りで行けないからね」
「まさかと思いますが…小笠原さんの日程が空いていれば一緒に出席するつもりだったという事ですか？」
咎める風な口調で訊き返され、思わずムッとする。
「……。だったら何？」
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作者名：kico
| 作成日時：2017年9月27日 15時
