密室 ページ31
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エレベーターは地下2階に停止したまま動かなくなった。
他の階で待っている人も居ないらしく、すぐにモーター音も止まり、庫内に静寂が広がって―――。
「はーい、簡単な密室の出来上がり」
「み、密室って…ええっ！？」
和也は、慌てる私を尻目にしれっとした顔をして“B2”で止まったままの階数表示を見上げている。
「他の階で誰かがボタンを押して動き出すまで、エレベーターはこのまま。
そんでさ。実は、オレも今は休憩時間なんだよねー」
あ、そうなんだ…と思う間もなく、重ねられた手を引かれてくるりと正面を向かされた。
「…んー」
……///！
まじまじと見つめられると照れくさい。
目を細められて、きゅーんと胸が甘く締め付けられる。
息が止まりそうで苦しいよ。
おもむろに、和也の両手がそっと髪に差し入れられて…
「ちょ…///？」
締め付けられた胸がドキッと跳ねた。
「……不可抗力とかそーいうの関係ない。ふざけんな」
「…え？」
「役回りがある立ち位置ですらないんだわ」
「な、なに？？」
問い返した私を無視して、首筋から頬、耳たぶへ…。
10本の指が、ゆっくりと何かを確かめるように動いて…再びうなじに戻る。
「か…和也…///？」
「全部オレんだもん」
「…？？」
ひとりごと…？
触れられた箇所が熱い。
思考が続かない。
首を傾げた眼差しは、細められたまま表情が読み取れなくて…。
黙って見つめ返していると、くふっと笑って、ようやく視線が交わった。
「…肝心なこと忘れてた」
「え…？」
「こーいう時には、誰かさんにうーんと甘やかして宥めてもらうことにしたんだった」
「///！！」
覗き込まれて唇が近付き、一気に心拍数がはね上がる。
ええっ！うそでしょ、こんなところで！？
待って待って、それはダメだよね！！
「かっ和也///、ちょっと！え///！？」
動揺している私の口元を通り過ぎた和也の唇は、そっ…と耳元に寄せられて。
「ねえ…A、後ろ…」
耳たぶに吐息を吹き込むように甘く囁かれて、頭が痺れてくる。
「う…後ろ…///？」
「そ…。ほら…後ろのあれ見て……」
な、なあに…///？
振り向いた先には、扉の上の階数表示。
「？」
階数表示…？
それがどうかしたのかな…？と、首を捻った瞬間。
「あいたっ！」
ぺっちん！と、軽くいきなり後ろ頭をはたかれてしまい、痛くはないのにビックリして声が出た。
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作者名：kico
| 作成日時：2017年9月27日 15時
