チャラ ページ3
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「まあ、実家の母親は、俺が帰って来るのを楽しみにしていたようではあるけどね。
来年の1月に、弟がお前の後輩と結婚するだろう？その関係で、話があったらしくてさ。
しかし、大切な同僚についての相談となれば、当然そっちが優先だよ」
そうか…
弟のニッシーくんとアイちゃんの結婚が控えているから、マサトのご実家も準備で大変な時期に違いない。
「本当にごめんなさい！
そんな大事な用があったのに、もうヒロったら、一体何を考えていたのか…！！」
「いや、実家はいつでも行ける訳だし、今回のことはヒロアキ君がAを心配してのことだから。咎めたりするのは可哀想だよ。
それより、ヒロアキ君が俺にどんな相談をしてきたのか…Aは知りたくないか？」
ヒロの相談…。
確かに、気になる。
「お前にはちゃんと内容を伝えておいた方がいい話だと思うよ。2人で落ち着いて話がしたい。
このままじゃ、Aも俺に借りがあるみたいで嫌だろう。
どこかで一杯奢ってくれたら、それで全部チャラにする。それでどう？」
「え…っ」
「さすがに、今からここでする話じゃないからね。
時間も場所もAに任せるよ」
「……」
その通りだとは思う。
これ以上の個人的な話は勤務中にすべきではないし、マサトに借りも作りたくない。
だけど、仕事抜きのプライベートな時間に元カレと2人で話をするなんて、どうなんだろう…。
仕事上の信頼が回復してきた今、二度もあんな馬鹿な真似をする人じゃないと頭でわかっていても、マサトに気持ちをぶつけられた時の怖かった記憶が消えた訳じゃない。
かと言って、こんな事で、忙しい今の和也をいつかの様に頼るなんてしたくない。
でも…私が逆の立場だったなら…。
たとえどんな事情があったとしても、和也が仕事以外の用件でミイナさんと2人きりで…なんて、そんなことを想像したらやっぱりイヤだもの。
…結論。
マサトとは、少なくとも社外では接点を持つべきじゃない――。
「…わかった。じゃあ、お昼休みに11階の社員食堂でランチでもいいかな」
躊躇する私の気持ちも、マサトには予想できていたんだと思う。
「なんだ、社食か…しかも昼休み。Aらしい選択だな(笑)」
わざとらしく肩を竦め、それから笑って頷いた。
「いいよ。Aが選んだのなら、俺に異論はない。
じゃ、今日のAの休憩時間に合わせて11階の社食で」
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作者名：kico
| 作成日時：2017年9月27日 15時
