置き換えるなんて意味がないけれど。 ページ16
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「あいつ、付き合って4年で決めたって言ってたけどさ。
オレと彼女なんて、もう4年なんかとっくの昔に過ぎてる」
「うん…」
「オレらの仕事ってのはこういうの簡単にはいかないし、通さなきゃいけない筋だっていっぱいあるよね。
応援してくれてる人が沢山いるからこそ成り立つ仕事で、その気持ちとどう関わっていくかがすげえ大事でさ。
それはオレも彼女もよーくわかっているから、それ以上の話はしない。しないんだけどね。
…なんか、やりきれねえな…って。たまにそう思うことも…正直、やっぱある」
「……」
…そうだよね。
簡単にはいかない。
お偉いさん、スポンサー、ファンの子たち。
通さなきゃなんない筋はいっぱいある。
普通に親や親戚関係だけでもやること色々あんだろうなってのに、オレらにはそれ以外にも事務所の不文律や業界のルールがいくつもあって。
何より、まずは迷惑かけちゃう他の4人に事前に話をして、ちゃーんと納得してもらった上で。
筋を通すなら、きっとそこがスタートだと、多分オレらはみんなそう思ってる。
「…まあでも、だからって、もちろん荷物を下ろしてドロップアウトしたいなんて、全く思ってないけどね」
Ｊがオレに視線を戻してニヤリと笑った。
「こっちの事情に縛り付けたままなのは彼女に申し訳ないって思ってるけど、実際、それがオレの目の前にある現実だから。
そんなオレを彼女が選ぶっつってんだから、とりあえず、そこは考えても仕方ねえなって思うことにした。
今のオレがまずやるべきことは、とにかく嵐として前に進むこと。そこに迷いはない」
「そうだね」
オレも同じ。
いや、オレだけじゃなくて、向こうでふざけ合ってる3人も。
それぞれプライベートは大事にしつつも、嵐というグループへの思いを一番に…
そこは迷いなく進んでいるから―――。
潤くんの彼女と潤くんを含めオレら嵐が出会ったのは、それこそ、あいつやあの勝手に噂されてる若手女優の人と一緒にＪがドラマをやる前で。
あの頃から数えると、もう10年近く一緒にいるワケでしょ？
きっと潤くんたちには潤くんたちなりの考えや付き合い方がある。
彼女が求めるものだってAとは違うワケだから、そのままAとオレとの話に置き換えるなんて意味がないけれど。
それでもさ、すげーよね、Ｊは…。
もう、今のうちからそんな先のことまで具体的に考えてんだな…って。
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作者名：kico
| 作成日時：2017年9月27日 15時
