単刀直入 ページ26
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「…すっげーまぬけな顔」
和也が、ぶはっと吹き出した。
「だ、だって…」
「…自信ないんだ？」
「！！」
ニヤリと言い当てられて、心臓が跳ねる。
…そうだね。
私、自信なんて…ない…。
せめて、何年か後には戻って来れるのだと思えるのなら話は別だ。
和也の気持ちに素直に甘えられたなら、どんなにいいか。
でも、現実は…。
いつ戻って来れるのかわからない。
極論を言えば、叔父さんが天寿を全うするまで向こうに居ることになるかもしれない、何年どころか10年20年…いや、もっと長い間かもしれないのだから―――。
「…あのさ、その話なんだけど」
左手で顎をさすりつつ聴いてくれていた和也が口を開いた。
「例えばの話だよ？これ、失礼な言い方に聞こえたら申し訳ないんだけどさ…」
私が抱えている問題を金銭的に解決することも可能なのか――――
単刀直入にそう尋ねられた。
「そーいう話だったら、オレだって協力できるかもしんないじゃん。
アナタの性格上、出してもらうのは納得できないだろうから、貸したげるよ。曖昧で借りっぱになるのがヤなら、きちんと返済計画立ててさ。
何なら“一生ローンの分割払い”ってことでオレは全然構わないと思ってんだけど…そーいうことじゃないのね？」
早口で事務的でそっけない単語の羅列のようで、言葉の奥に込められている温かな想いが心に響く。
本気で私のことを心配して考えてくれてありがとう和也…。
その気持ちが嬉しいよ。
だけどね…。
「うん…。お金で解決することじゃないから…」
お金で有料サービスを受けることは不可能ではないのかもしれないけれど。
ヒロの夢や叔父さんの今後を考えて、今が恩を返す時なのだとしたら、やっぱり私が戻るべきだと思う。
それに…お金の面で和也に甘える訳にはいかないよ…。
「心配してくれてる和也の気持ちだけで十分だよ。ありがとね。すごく嬉しい…」
「……」
私の反応に、和也はなぜか耳を少し赤くして一瞬黙り込むと、くはっと溜息のような苦笑いを零した。
「…そっかー！そりゃそーだよ。バカだねー、オレ」
「？」
「…ってことは、アレだな」
和也が言葉を切って私を見た。
「にっぶいお嬢さんが、いったい何を怖がって自信が持てないのか…。
そっちから先に解決しなきゃってことだよね」
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作者名：kico
| 作成日時：2019年5月30日 12時
