茫然 ページ44
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「ちょ、ちょっと―――！！」
…え…何よ今の。
嘘でしょ…。
通話の切れた手の中の携帯を茫然と見つめる。
よくわからないけど…きっと何か事情が…。
そう思って少し待ってみたけれど、携帯が再び鳴ることはなく。
折り返しかけてみても、再び繋がることもなく。
私は携帯電話を手にして肩を落とし、リビングへと戻った。
「んだよ、早かったじゃんか」
「……」
「自己中彼氏だったんだろ？
どうせ形だけで、忙しいからってすぐ切られたんだろ(笑)」
「…違うよ」
そうじゃない…でも…。
また重い溜息が零れていく。
「…え、何だよその暗い顔…マジかよ…」
「違うって言ってるでしょ！！」
だめだ、混乱しちゃって、ヒロに笑顔を見せる余裕がない。
「…やっぱ、やめとけって。
やっと電話してきたかと思ったら、姉ちゃんにそんな暗い顔させてさ。そいつ全然姉ちゃんのことなんて想ってくれてないじゃんか」
「そんなこと…ない」
「この際だから言うけどさ、たとえ自己中男でも、俺は姉ちゃんがそいつと本気で幸せになるつもりで、そいつがちゃーんと姉ちゃんのこと真剣に考えてくれる男なら別にいいと思ってる。本当に幸せになれる相手ならいいんだよ。
でも、どう考えてもそうは見えないんだって。姉ちゃんマジつらそうだぞ」
「そんなこと…ないってば…」
「なんで、よりによって幸せになれない男に引っかかってんだよ。幸せになれる男にしろって」
「私の幸せをヒロにとやかく言われたくない」
「じゃあ姉ちゃんの幸せって何だよ！姉ちゃんの理想の未来がどんなのか言ってみろよ！」
「……」
「本当に好きになったら、ずっと一緒に居たいって思うだろ？2人の未来を思い描くものだろ？姉ちゃんだって昔はそう願ってたじゃんか。
でも、そんな話もしない、いつまで一緒に居られるかわからない。そんな男どこで何やってて何考えてんだかわかったもんじゃないって。
そんな自分勝手な男に人生左右されてんだぞ！目を覚ませって！」
「勝手なこと言わないで！そんなことないって言ってるでしょ！！！」
ヒロの放った言葉を流すことが今の私にはできなくて、大きな声が出た。
「もうこんな話はたくさん！ヒロはサナちゃんと幸せな家庭を作っていけばそれでいいじゃない！！
私だって、未来は欲しいよ！でも手に入らないってわかってるの！！私がどうしようとヒロには関係ないんだから、もう放っといてよ！！！」
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作者名：kico
| 作成日時：2019年1月18日 12時
