おんなじ ページ37
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「ほら、うちって八百屋やってるでしょ？
わたしは背が小さくて痩せていつも外で遊んで日に焼けて真っ黒だったから、子供のころ上の学年の男子から『チビごぼう』って揶揄われて泣いちゃったことがあって。
そしたら、ヒロくんが『サナを泣かせたのはどいつだ』ってその子のクラスに殴り込んでくれたんだよ。ボコボコにされたけど、噛みついたら相手が泣き出して。カタキとったぞ！って」
「あ、覚えてる！小学2年生の頃でしょ？」
「うん！」
確か、ヒロが上の学年のガキ大将たちに喧嘩を売って、ボコボコにされて帰って来て。
相手に噛みついて泣かせたと聞いたお母さんが、慌てて菓子折りをもってその子のお宅まで謝りに行って…
ヒロは先生にもかなりきつく叱られて…。
「そんなこともあったよね。懐かしいな…。
でも、そんな理由だったなんて全然知らなかった…あのヒロが…」
「すごく嬉しかった。
もしかするとヒロくんは単純に子分の敵を取ったつもりだったのかもしれないけれど、わたしにとってヒロくんはあの頃から誰よりもカッコいい、たった一人のヒーローだったの///」
「そうなんだ…」
『泣いている暇があったら大事な人を守れる男になれ』って、お父さんはいつもヒロに言っていた。
きっと、ヒロも子分だ腰巾着だと言いながら、あの頃からサナちゃんは特別で、大事な存在だったに違いない。
「だからね、サナもヒロくんの為にできることがあるなら何でもしたいと思ってる。
建築のことはよくわからないけど、ヒロくんの傍でヒロくんをずっと応援していきたいなって。
ヒロくんがやりたいことをやって欲しい、そのお手伝いができるならすごく嬉しいって思うんだ」
うん…。
そっか…わかるよ…。
言葉じゃなくて、感覚で理解できる。
私もアイドルの世界はよくわからないけれど、和也がやりたいことを思う存分にやって欲しい、私になにかできることがあるならすごく嬉しいって思う。
和也の傍で、私は和也を応援していたい。
おんなじ気持ちなんだね。
「…ねえ、お姉ちゃん、東京の彼氏さんってどんな人？」
「えっ？」
「カッコいい？」
「うーん、そうだねえ…」
サナちゃんと自分が重なって、素直な気持ちが自然と零れていく。
「うん。すごくカッコいいよ。私にとっては誰よりもカッコいい。
だけどね…きっと一般的に見てカッコいいと言うのとちょっと違うと思うんだ」
「…？」
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作者名：kico
| 作成日時：2019年1月18日 12時
