契約ノカタチ Act5【KN】distance 2 (ページ35)

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バス停ページ35

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「おお…そうだ。Aちゃんと言えば…叔父さんから聞いたよ。いい人が居て…病院にもわざわざお見舞いに来てくれたんだって？」

サナちゃんのお父さんは少し舌足らずになってきて…
どうやら酔いが回ってきたようだ。

「正直、Aちゃんより先にヒロ君のところにサナを嫁がせることになっちまうのは申し訳なくてなあ。
　…まだ結婚しないのかい？向こうはそのつもりなんだろ？
　叔父さんもAちゃんの結婚をとても楽しみにしていたようだが…」

「それは…」

「お父ちゃん、今日はサナとヒロくんのおめでたい席なんだから、そんな話はナシ！！
　Aお姉ちゃん、ごめんね。お父ちゃん酔っ払っちゃってて…」

私が喋るより先にサナちゃんが遮ってくれたけど。

　
「ううん。いいんだよ、サナちゃん。おじさんたちが気にするのも無理ないと思うし。
　ちょうどね、私もその話をさせて頂こうと思っていたから…」

叔父さんとサナちゃんのご両親は仲が良い。
まだ叔父さんにマサトのことを説明できていない状況で、本当の話がご両親経由で叔父さんの耳に入ってしまうのは避けなければならない、かといってこんなことで嘘をついてもらうには忍びない―――――…
ヒロとそこまで打ち合わせて、もしマサトの話が出た時は肯定も否定もしないでおくことは了解済みだった。

とにかく、私は結婚には興味がないこと。
ヒロとサナちゃんが先に結婚するのを本当に嬉しく思っていること。

ご両親にそのことだけはハッキリ伝えると、
「そうかい…まあ、Aちゃんがそういうなら…」とそれ以上深い話になることもなく、納得してもらえたようだった。

＋＋＋

食事会が終わった頃には、サナちゃんのお父さんはすっかり酔ってしまっていて、サナちゃんのお母さんと一緒にヒロが肩を貸して支えて帰ることになった。

3人を乗せたタクシーを見送って、私とサナちゃんは2人でのんびりバス停へと向かう。

「さっきはごめんね、Aお姉ちゃん…」

2人で歩きはじめると、サナちゃんがすぐに申し訳なさそうに手を合わせた。

「彼氏さんの話、ヒロくんから聞いた。マサトさん、本当は違うんだ…って。
　お父ちゃんもお母ちゃんも嘘がつけない性格だから、わたしも叔父ちゃんに隠し事は難しいと思う。話を合わせてくれてありがとう。ごめんなさい…」

「ううん、サナちゃんが謝ることじゃないよ。
　話を合わせたというか、マサトの話に何も触れなかっただけだもの」

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