契約ノカタチ Act5【KN】distance 2 (ページ19)

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合図ページ19

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『A、いま実家？』

『うん実家。和也は？』

『んー…偉い人の行きつけの店で、マネージャーと一緒にスポンサーとか偉い人とかいろんな人たちとみんなで飯食ってる』

えっ…！
みんなでご飯を食べてる席でメール打ってるの！？

『和也、ダメだよ食事中に！！』

『あー大丈夫、今はね、偉い人もスポンサーもあっち行っちゃったから、その間だけ。
　電話は無理だけどメールならOKっつーことでマネージャーも了解済み。あの人、偉い人たち戻って来そうになったら合図してくれんですって』

“あっち行っちゃった”…？
“合図”…(笑)？？
状況はわからないけれど、とりあえず今の間は私とやり取りしていても問題ないってことなのかな。

『そうなんだ』

メールの向こうに両手でスマホを持ってこれを打ってくれている和也が想像できて、顔が自然と綻んでしまう。

『和也、忙しいんでしょう？』

『忙しいね。でもAが心配するほどじゃありません』

『ちゃんと食べて、しっかり身体を休めなきゃだよ』

『はいはい、わーってます…(笑)って、あー！悪い、もう戻って来るんだって。
　明日も多分こんな感じかなー。時間作れたら電話するけど、今日より予定詰まってんじゃねーかな。難しいだろーね』

『うん。わかった。お仕事頑張ってね』

『了解。アナタもだよ』

顔文字付きの返信に、ふふんと笑ってくれている顔も目に浮かぶ。

それだけで嬉しくて、私も顔文字付きで返してみたりして。
何だか胸がいっぱいだ。

『A、明日は会議だっけ？何時から？』

『うん。朝9時から』

『9時入り？朝っぱらから容赦ねーな(笑)。お疲れさん。んじゃ頑張れよ！！』

『ありがとう。和也もね』

ニヤけて緩んでしまった顔でパタンと携帯を閉じてから、あ…そういえばマサトから聞いた話だけでも伝えておかなくてよかったのかな…と思ったりもしたけれど…。

今はお仕事の話やこれからの予定の打ち合わせなんかもしているかもしれないし、合図があった以上は、もうメールを送ったりしない方がいいだろうし。
関係があるかどうかもわからないあやふやな話なんだから、その辺の微妙なニュアンスはそもそもメールじゃ伝えづらいかも。

今度、電話で話す時でいいかな。

不安な気持ちや凹んでいた気持ちは、どこへいったのか。
和也とのメールですっかり満たされた私は、1人で納得して、温かい気持ちでぐっすり眠りについた。

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