ネガティブ ページ17
.
結局、見るともなしに見ていた深夜の短いバラエティ番組も終わり、私も自室に戻った。
携帯電話を開いてみたけど、画面には時刻が味気なく表示されているだけ。
…わかってる。
掛かって来ないということは、忙しくて時間が作れないということだ。
無理しないでほしいとは思うし、事実そう書いて送ったんだし。
でもね。
話しておきたいこと聞いてほしいこと色々あって…
今日も連絡が取れないのかな…
小さく溜息が零れた。
「…不安だよ」
ポロっと本音が零れ落ちて…
言葉にすると、ずっと抑えていた気持ちが一気に吹き出て心を覆い始めた。
もうずっと会えてない。
今の私は、立て続けにいろんなことがあって、いろんな気持ちに雁字搦めになって身動きが取れなくなってしまっていて…。
ずっと1人であれこれ考えて、疲れちゃって…。
怖い。
淋しい。
切ない、会いたい、和也をギュッとしたい、してほしい。
声だけでも聴きたいのに、それすら叶わなくて…。
せめて私も東京に居るのなら、時間が合わなくても和也の部屋で夜だけでも温もりを感じられたのに、こんなに離れちゃってたら、そんなこともできなくて…。
恋しいよ。
和也が恋しくてたまらない。
ほんの短い期間なのに…
会えない距離、声の届かない状況がこんなにもどかしいだなんて……！
手の中の鳴らない携帯電話を眺めてみる。
今の私にとって、この携帯が和也と私を繋げてくれている唯一のツール。
これがなければ連絡だってままならないんだもの…。
……。
そこまで考えて、ふと…
連絡が取れなかった先週末の一連の記憶が頭に蘇ってきて―――――…
「………！！」
ああ、そうだった…と、ようやくネガティブ思考から抜け出した。
…バカだよね。
こんなことで何を言ってるのよ、私！
あの苦しい時間を考えれば、こんなの全然大したことじゃない。
お見合いの件は若先生にお断りしたし、叔父さんと先生が誤解している件は明日改めて2人に説明すればいい。
マサトの話も真偽はわからない。
本当にただの偶然の可能性だってあるし、何か不穏な出来事があったわけでもない。
不安になって嘆く前に、まずは課せられた仕事をしっかり終わらせて、次に叔父さんたちにちゃんと安心してもらって。
それから、東京に帰って和也といろんな話をしよう。
和也と一緒に居られる限られた今を大事に過ごそうって決めたんだもの。
こんなことで凹んでいる時間がもったいないよ！
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3127人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kico
| 作成日時：2019年1月18日 12時
