意気揚々 ページ16
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マサトと別れて病室に戻ると、叔父さんは私と入れ替わりで夕方のリハビリへと向かうところだった。
若先生も急患が入ってしまったとのことで、その日は結局どちらとも何も話せなくて…
私は、そのままヒロと病院を後にした。
晩御飯は2人でファミレス。
オーダーを通してもらって待つ間に改めてマサトの提案を断ったことを伝えると、ヒロは残念そうな顔を見せたものの、ある程度予想はしていたのだろう。
メニューを置き、「そっか…やっぱりマサトさんじゃダメだってことか…」と、黙って何やら1人で考え込んでいた。
私もメニューを閉じて、これからのことを考える。
まさか、マサトとのことがこんな形で再浮上して来るとは思わなかった。
叔父さんと若先生には、明日土曜日、こっちのテレビ局での会議の後で病院に寄った時に私から説明して誤解を解いておかなきゃ。
『おお、A、マサト君をしっかり見送って来たかね？
さあて、それじゃあ、わしは夕方のリハビリに行ってくるとしようか！』
私と入れ替わりにリハビリ室へと向かった叔父さんは、ゆっくり歩行器を押しながらも意気揚々としていて。
これまでの痛みがつらそうな表情から一転、あんなに嬉しそうな笑顔…
ヒロが叔父さんとマサトの話を訂正できなかった気持ちもちょっとだけわかる気がした。
でも…このままにしておくわけにはいかないよ。
マサトから聞いた2つ目の話も気にかかる。
あのマネージャーさんとの一件がどこかで関係している可能性もあるのかな…。
目に見えないところで、本当に誰かが何かを意図して動いているのかな…。
でも…
誰が？何のために？
わからないことだらけだ。
とにかく、そのことも含めて和也に話をしておきたいと思う。
時間を作って和也の方から電話してくれると言っていたから、いつ掛かってきても出れるようにしておこう。
帰りの車の中でも携帯は手にしたまま。
実家に帰りついてからも、今日は常に携帯を持って移動した。
だけど、一向に携帯が鳴る気配はなく。
お風呂に入り、明日の用意を済ませ、リビングでヒロとテレビを見て。
ゴールデンタイムの番組から深夜帯の番組へと移る時間になっても、携帯は黙ったままだった。
「あれ、もうすぐ12時じゃん。姉ちゃんも明日はまた会議だろ？寝なくていいの？」
「うん…もうちょっと…。このバラエティ番組を見てから寝ようかな…と思って」
「ふーん、そっか…。じゃ、俺寝るから。おやすみー」
「うん。おやすみ」
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作者名：kico
| 作成日時：2019年1月18日 12時
