右腕 ページ10
.
本当に好きになった人と巡り合えたのに、その人とこれ以上一緒には居られないかもしれないという不安と苦しみを抱えて、悩み抜いた２か月間。
大切に思っているのに届かない…そんな想いを経験した今の私は、和也の傍で心を重ねて一緒に過ごす小さな日常が、どんなに恵まれているのかを知った。
ありふれた毎日の些細な会話や何でもないやりとりが、それだけで嬉しくて愛おしい。
マサトと過ごした時間を含めて、私の過去の記憶は、少しずつ和也との大切な思い出に書き換えられて、こうして心に残っていくのかもしれないね。
だって、このワンピースをこれから先もまた着る機会があったとき…
きっと私の心に浮かぶのは、何度かこの服で一緒にオシャレなお店に食事に行ったマサトとの時間じゃなくて。
間違いなく、今朝のちょっと強引なキスから始まって、あっという間に一緒に堕ちてしまった余裕のない和也との甘い時間だと思うから…。
１年間一緒に過ごしても、そんな想いを残せなかったマサトには申し訳なく思うところもあるけれど。
でも、良いこともそうでないことも、マサトとのいろんな過去があったからこそ、和也との今があるんだよね…。
そんなことを考えていると、マサトはスッキリとした顔で笑った。
「わかってるよ、オレも。思い出話なんてしたって、今の俺たちの何がどうなるわけでもない。
今更、何をどうしたって、それは変わらない。そうだろう？」
「うん…」
正直に頷くと、マサトは苦笑した。
「今の俺とAとを繋いでるのは、仕事上の関係と同期としての友情だからね。
今日は、ちゃんと友人として送る。
安心していいよ」
そこまで言うと、マサトは顔を窓の外に向けて小さく呟いた。
「ただ…それが、あいつの牽制に“してやられた”ってのだけは、非常に不本意だけどね…」
「…え？」
“あいつ”…？
それに、“牽制”…って聞こえた気がするけど…違ったのかな…。
ハッキリ聞き取れなかった。
何が“不本意”なんだろう…？
「なあ、A、その右腕…」
「え？…右腕？」
急に話が変わって、慌てて自分の右腕を見た。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2581人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kico(プロフ) - むぅさん» 私が書いてて楽しい妬いてばかりの話でスミマセン(苦笑)。次も谷山くんがいい感じで掻き回してくれるかな(ニヤリ)？わあーラブレター♪嬉しい！待ってますー^^＊ (2015年9月18日 13時) (
レス) id: 878d76093f (このIDを非表示/違反報告)
むぅ(プロフ) - あー！にのちゃんのヤキモチがたまりません(//∇//)谷山くん登場でますます目が離せない〜( ≧∀≦)続きも楽しみに待ってます♪…が、その前にラブレターを送りまーす♪ (2015年9月17日 16時) (レス) id: 52581c3c38 (このIDを非表示/違反報告)
kico(プロフ) - まきさん» 今回はジェラでぐるぐる悶々な二宮さんが書きたくて^^＊うふ♪飲み会はね、書きたい場面があるんですよ！そこで一緒にニヤニヤして頂けたら幸せです^^///二宮さんが好きすぎて今は書けませんが、先でもし他メンバーを書く機会があった時は是非読んでやってくださいー^^ (2015年9月11日 9時) (レス) id: 878d76093f (このIDを非表示/違反報告)
まき(プロフ) - 今回はヤキモチ焼きっぱなしの二宮さん。いいですね〜もっともっと焼いて欲しい!！飲み会でも焼きまくりかしら〜？どんな展開から家に行くのか？？楽しみです！そして、他のメンバーのお話も気になる！全員彼女持ちだったなんて…いつか読んで見たいです。 (2015年9月10日 21時) (レス) id: 3ceb63cb0e (このIDを非表示/違反報告)
kico(プロフ) - しろさん» ひとりで勝負してひとりで勝ってる二宮さん(笑)。勝ちましたね♪主人公ちゃんの為にムキになって顔を顰めてガリガリやってるところを書けて、私も楽しかったです^^！ (2015年9月7日 4時) (レス) id: 878d76093f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kico
| 作成日時：2015年8月28日 9時
