饒舌な花火【KN】2014.7 (ページ1)

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止まってなんかいらんない。ページ1

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久々に仕事が一日オフの週末。

今日は都内で大きな花火大会が予定されていて、それに合わせてAの勤めるテレビ局では“夏祭り”と銘打ち、社屋前ロータリー広場で様々な交流型イベントが開催されているらしい。

せっかくの週末オフなのに、Aはその夏祭りに動員とやらで朝から仕事。
すんごい残念だけど、その代わり終わったらここで月曜日の朝まで一緒に過ごす予定だからね。
まーいっか、って。

昼食をとるのも忘れてゲームに没頭してしまい、日が傾きかけた頃にようやくコントローラーを置いた。
冷蔵庫から缶ビールを取り出して開け、1人ベランダへと出てみる。

眼下の街並みに行き交う人々の小さな姿を眺めつつ、まだ明るいうちからベランダで飲む冷たいビールの旨さ。
なんという贅沢。
Aと分かち合えてたら言うことねーのにな…などと考えている自分に苦笑した。

同じ未来を見据えたあの提案の日から1年半。
想いは強くなるばかり。
もはや、Aの居ない日常などあり得ない。
それなのに…じゃあ一体どれほどの成果を自分が出してきたのかと問われたら、まだ納得はできてない。

嵐は15周年を迎え、秋にはハワイ公演も控えている。
仕事は楽しくて充実しているけども、甘んじてばかりいる訳にはいかないってのもわかってて。

まだまだ嵐はこんなものじゃない。
見たい景色を見るために、オレら5人でやれることは全てやる。
スタッフやファン、偉い人にスポンサー…関わってくれているみんなで一緒にその景色を見るのだと決めたからには、止まってなんかいらんない。

欲しい未来を目指して進むオレを、Aは不満を言うでもなくずっと傍に居てくれている。
仕事は忙しいらしくて、残業や休日出勤も相変わらず多い。
だけど、週末はほとんど一緒。
平日も時間があれば小まめにマンションに顔を出してくれていて、オレにとっては何の不都合もない快適な関係が続いているけども。
これってAにとっては、制約ばかりの閉ざされた関係でもあるわけで。

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空いたビール缶を手にリビングに戻れば、Aの局にチャンネルを合わせたままのテレビ画面からは夕方の情報番組が流れてた。
ちょうどテレビ局主催の夏祭りを取り上げていて、レポーターが現地から生放送で紹介しているところ。

冷蔵庫から2本目のビールを取り出して、見るともなしに缶に口を付けながら眺めていると、来場者インタビューの背景で会場の様子が映し出された。

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