星屑箱【KN】 (ページ5)

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どうやら、すずなは冠番組で弄ってもらえたことを彼に個人的に気に入られたのだと受け取り、特別な感情を抱くようになったらしい。

すずなの事務所としては、彼の事務所に迷惑をかけない範囲で彼に接近したり彼を慕っていると公言したりすることは戦略内で容認していたが、最近は気になる言動が増え、先日も「きっと二宮さんにも彼女が居るだろうけれど、昔は来るもの拒まずで遊んでいたのならわたしにだってチャンスがあるんじゃ…」と、冗談交じりに口にしたので厳しく指導したばかり。

国民的アイドルと特別な関係になれば、あわよくばその先の仕事やスクープ絡みの展開も期待して、単独で勝手な行動にでたようだ。
こちらの監督不行届であり、厳正に対処するので、どうか事務所間の友好関係には影響のないようにご配慮をお願いしたい。

男性マネージャーは、そう言って彼や彼の事務所への謝罪を何度も口にしていたとのこと。

余談で、すずなが憧れのモデルにミイナを挙げていると聞き、「だろうね」と苦笑する彼。

「どうやら、すずなさんはご自身の人気についても、全て実力だと過信してしまっていたようですね。
　私が事務所経由で正面から連絡をしましたから、先方の事務所幹部の耳にも入っているはずです。もうこれまで通りの活動を続けることは難しいでしょう」

常に後ろの誰かが前の誰かのポジションが空く隙を狙っている世界。
事務所同士の友好関係を崩すようなことをしてしまった以上、見せしめのために表舞台からは下ろされてしまうでしょうね、と。

「仕方ないよね。自業自得でしょ」

事務所が手を引くなら、こちらも重用する理由はなくなったと事も無げに言う彼。
念のためにお尋ねしますが…改めて手を差し伸べなくていいのですか？と問うマネージャーに、彼はそんな義理はないよと返す。

落ちるも残るも自分次第。
グラドルだろうとアイドルだろうと、生き残りたければ最後は自分ひとりで死に物狂いで努力するしか道はない。…でしょ？

あくまでも仕事上での兄貴分。
それ以上でもそれ以下でもない。
冷たいと言われようと非人間だドライだと言われようと、男女問わず仕事上の人間関係は、ほんの一部の例外を除いて今はすべてそう認識しているという彼に、「二宮さんらしいですね」と苦笑するマネージャー。

だからこそ、その例外であるうちの人たち4人と貴方はオレにとっちゃ特別なんだよ、と心の中で続け、彼は口角を上げて窓の外を眺めた。