チョコの行方 2017.2 ページ30
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2月14日のお話。
二宮さん視点。
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毎年この時期になると、どの現場でも前室や楽屋に誰かの差し入れのチョコが置いてあって、あーもうそんな時期かーと思う。
でも、自分からは好んで差し入れに手を付けることもなく。
チョコは、年に一度Aからもらうだけで十分。
“アナタも忙しんだから無理にこだわんなくていーよ”っつってんのに、毎年いつの間にか作ってくれてて当日に渡してくれて。
その気持ちがありがたいじゃない？
今年もそう。
昨夜、2人でテレビを見てた時に日付が変わって、少し照れた表情のAから差し出されたリボンだけのシンプルな小箱。
「あら…嬉しいじゃないよ。ありがとね！」
Aのチョコは、この時期のオレにとっての最高のご褒美だかんねー…
リボンを解きながらさりげなく独り言みたいに伝えると、Aは嬉しそうに頬を緩ませた。
照れくさいけども、ガチだよ。
甘い物が得意じゃないオレだけど、未だにアナタからのチョコ一つですげー頑張れんの。
蓋を開けたら手が止まる。
「おっ？…上に何か載ってんじゃん」
無理に手作りじゃなくてもいいのに、中に何か入ってたり、まぶしてあるココアパウダーが抹茶になってたり二層になってたり。
そーいうのもちゃーんと気付いてますから。
今年はナッツのせ。
毎年同じような生チョコじゃ新鮮味がないかなと思って…とAは笑うけど。
バレンタインのチョコに新鮮味なんて、オレ一切求めてないよ。
オレにとっちゃ、年に一度、Aにチョコの旨さを教えてもらう日。
Aが心をこめて形にしてくれる気持ちを美味しくいただく日なんだから。
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そんなカンジで始まった今年のバレンタインデーは、午後から他局でレギュラー番組の収録。
順調に進み、予定通りに終了した。
3本目の開始前には、過去に別番組で共演したゲストの若い女優さんが5人の楽屋に挨拶にきてくれて、豪華なラッピングの高そうなチョコをわざわざ1人1個ずつ渡してくれた。
いつもなら後でスタッフやマネージャーにあげちゃったりすんだけど、ラッピングのロゴ見ると、いつだったか…Aが一度食べてみたいっつってた有名お取り寄せスイーツ店のチョコ。
せっかくだから…と、開けもせずにAに持って帰ることにした。
「現場でご挨拶にチョコもらった。アナタにあげるよ」
「…え？」
玄関先で、ほいと手渡して。
少し困ったように受け取ったAが、紙袋のロゴに気付いた。
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作者名：kico
| 作成日時：2020年7月15日 20時
