星屑箱【KN】 (ページ14)

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久しぶりに、2人でゆっくり話をしながら晩ご飯。
1人の時は帰りが遅くてもお酒を飲んで明け方近くまでゲームやってる、と平然と言ってのける彼を心配するA。
「これからが大変なんでしょう？ちゃんと身体を休めなきゃ。無理が続くと身体を壊しちゃうよ？」と。

彼女の言葉に「Aが毎日ここに来てくれたら、ちゃーんと眠ったげるよ」と口角を上げられてしまい、「もう(笑)！」と苦笑い。

数時間しか一緒に居られないとはいえ、今や週末だけでなく水曜日や木曜日の夜にも時々立ち寄っている。
他人に縛られることを何より嫌う人だもの。
もっと忙しくなるとわかってるのに、これ以上頻繁に顔を出して彼の仕事や貴重な1人の時間を邪魔するなんてできないよ。

後片付けを一緒にしながらふざけ合う。
抱き締められてバカ話をしながら何度も軽くキスを繰り返しているうちに、何となくいい雰囲気に。
ラグにそっと倒されて流されそうになり、え…待って…と慌てたタイミングで、彼のスマホにマネージャーさんからの電話が入った。

聞くともなしに漏れ聞こえる会話で、明日はお昼から撮影が入ってしまったことを察するA。
「はーい、わかりました。りょうかーい」と電話を切って、案じた通り、彼がため息を零して残念そうに笑った。
「…A、悪い。明日も仕事だわ」

それでも、明日は昼前まではゆっくりできるからと。
ちゅ…っと軽いキスからさっきの続きに持ち込もうとした彼に、内心で焦るA。

ダメダメ、チョコレートの最後の仕上げがまだ残ってる。
いま流されてしまったら、きっとそのまま夢中になって満たされて…うっかり2人で眠ってしまったら、せっかくのチョコレートを渡せなくなっちゃう！とばかりに、ストップをかけた。
「今はダメ。先に終わらせなきゃならないことを終わらせて、後からゆっくりね？」とやんわりと制して立ち上がり、彼女ははお風呂の準備をする為にリビングを後にした。

リビングに残された彼は、大袈裟に「ちぇーっ(笑)」と残念がってソファーにばふんと倒れこみ…
置いてあった台本に手を伸ばしてぱらぱらとめくると、そのまま本読みを始めた。

Aは、風呂場でお湯張りを開始した後、キッチンで明日の朝食準備まで終えて、本読みをしている彼の傍の定位置に座って洗濯物を畳んでゆく。

ゆったり流れる時間。静かな空間。
すごい集中力で、彼がぶつぶつ長台詞を諳じる声とページを捲る音だけが静かに響いている。

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