星屑箱【KN】 (ページ13)

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残響　2015.2 ページ13

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バレンタイン前日の2人。
主人公ちゃん視点。

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2月13日金曜日。

先月下旬から始まったスペシャルドラマの撮影で、彼は一気にまた忙しくなった。
小まめにマンションに会いに行っているが、夜しか2人で過ごせない日々が数週間続いている。

そんな中、職場で休憩中に彼から「明日は撮休かも」とメール。
偶然にも明日はバレンタイン。
2人でゆっくり過ごせたらいいな…と顔が緩んでいる時に、Aはミイナと遭遇した。
「幸せそうな顔…まだうまくいってるようね」と冷やかな笑みを向けられる。

去年のいつ頃だったかしら…
同じ事務所の後輩が身の程知らずにも昔のわたしに張り合ってカズにアタックすると言うから、アドバイスしてあげたの。
今のカズを呼び出すなら、仕事を口実にしないと来ないわよって。
でもちゃんと忠告もしておいたのよ。誘っても無駄だからやめときなさいってね。
案の定、失敗してお払い箱。
あんな乳臭いガキに負ける筈もないけれど。

すずなの話だと気付くA。

今はうまくいってても、思い上がらない方がいいわよ。
あの頃のカズを癒やして満たしてたあげてたのは、紛れもなくこのわたし。あなたじゃないわ。
わたしだってあの頃はカズとずっと続くと思ってた。
ちょうど今のあなたみたいにね。

……。

カズみたいな男は余裕のある女じゃなきゃ相手は務まらない。
大丈夫？あなたって窮屈で全然余裕なさそうなんだもの。
わたしは、今でも戻ってくると言えば笑って受け入れてあげられる。
あなたにもそれくらいの余裕があるかしら？

…必要ないと思っていますから…そんな余裕。

「ふうん…相変わらず面白味がない人ね。本当につまらない。そういうところが窮屈だって言ってるの。
　でも…いいわ。言ったはずよ、結果が全て。楽しみね。最後に笑うのは誰かしら？」

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仕事が終わって、彼のマンションへ。
キッチンで、今年も甘さ控えめの生チョコレートを作る。

今回のドラマはスケジュールが連日タイトで、早朝から深夜まで撮影と聞いている。
かなりきついんじゃないかな。
一気に痩せたと思う。
明日はゆっくり身体を休められたらいいけれど…。

彼への気持ちを込めながら、溶かしたチョコレートを混ぜてゆく。

毎年繰り返して、少しずつコツがわかるようになってきた。
今年はミルクとビター2層に仕上げた自信作。

さあ、最後の仕上げ…とココアパウダーを振りかける直前に彼が帰って来て、慌てて見つからないように片付けた。
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