お品書き ページ6
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喉を通っていく極冷のビールは、さっきの食前酒とはまた違った美味しさで。
「うーん！おいしい！」
これはこれでやっぱり格別だと思う。
「やっぱここで飲むビールは最高だなー」
「そうだね」
気付けば奥から出て来た店主のおじさんが黙々とカウンターの中で手を動かしてくれていて、女将さんは無駄のない動きでサポートをしている。
居心地のいい空間に、美味しいお酒、美味しいお料理。
1人で寄らせてもらう時と同じようで、また違う。
和也と一緒に寛げているこのお店でのいつものこの感じは本当に久しぶりだ。
この雰囲気が大好きな私としては、とっても嬉しいことだけど。
「…いいのかな」
「ん？」
和也がジョッキを置いて私を見た。
「なにが？」
「お誕生日のお祝いなんだから、和也にもっと特別気分を味わってほしかったんだけど…。これじゃあ、いつもとあまり変わらない気がする…」
「いんじゃない？」
「でも…」
くはっと笑われた。
「なんで笑うの///」
「や、別に」
「私なにか変なこと言った？」
「全然。全く(笑)」
「？？」
なんだろう…
さっぱりわからない。
首を捻ってふと見ると、カウンターに置いてある和紙に手書きのお品書きに気付いた。
「そうだ、何か追加でお願いしようか！」
二つ折りにされたその和紙を取ろうとしたけれど。
「いーのいーの(笑)」
「あ…」
和也はお品書きをひょいと取り上げると、右手で私からは手の届かないカウンター反対側の右奥へと滑らせてしまった。
「ちょっと！」
「いーから。どーせそんないっぱい食えねーんだって」
「もう…」
口元を隠して、くく…とまた肩を揺らしている。
私にはピンと来なくても、和也にはツボな何かがあったらしい。
「さっきのシェリー酒でね、もー十分スペシャルなんだから。今夜はオレね、久しぶりにここでゆーっくり飲むって決めてんの」
くふっと笑いながら喋る、その少し舌足らずな言い方が可愛い。
なんだかご機嫌だ。
…そうだよね。
寛いでもらうのが目的なんだもの。
和也が楽しいなら私も嬉しい。
よくわからないけど…
まあ…いいかな。
「あとはねー、おかーさんのうっまいビールと、おっちゃんのうっまい定食。いつもの枝豆。それだけでいいの。ねー、おっちゃん」
「…はいよ、枝豆」
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kico(プロフ) - あさひさん» あさひさんコメントありがとうございます！某その節は「もう続きは書けない＞＜」って散々愚痴を零してましたもんね(苦笑)^^;このタイミングで書けて良かった。今の幸せな2人を見届けてくれてありがとう(*´ω`*)大感謝です(感涙)！ (2019年10月27日 9時) (
レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
あさひ(プロフ) - kicoさん、素敵なお誕生日のお話ありがとうございます！今の二人が変わらず幸せで、私も幸せですー！定食屋さんのお話、もう読めないかなと思っていましたが、読めて嬉しいです！YELLOW MAGIC 読み返してきます！ (2019年10月26日 12時) (レス) id: 1753a678de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kico
| 作成日時：2019年10月11日 18時
