使命 2016.1 ページ3
＋＋＋
「だあいじょぶだって！そぉんないうほどねぇ、のんでませんってぇの！ほらぁちゃーんとあるけんのにさぁ…このひと“おーげさ”なんだよなぁ…」
玄関を入るや否や、酔っていつも以上に舌ったらずになった和也は、気怠そうに親指で背後のマネージャーさんを指さして笑う。
そして。
被っていたいつものキャップを、はい！と私の手に乗せたかと思うと、マネージャーさんに向かって「んじゃあ、おつかれ！どーもあんがとね！」と言って玄関先の上がり框に腰を下ろし、靴を脱ぐ姿勢のまま座り込んでしまった。
マネージャーさんが心配そうに眉を寄せ…
それから私に向き直って、深々と腰を折った。
「…夜分遅くに申し訳ありません。
さすがにAさんに下に降りてきていただくわけにはいかないと判断しましたので、こんな時間にご迷惑かもとは思いましたが、上まで送らせていただきました」
「迷惑だなんてとんでもないです。
わざわざ玄関先まで、ありがとうございました」
「私が同席していながらこのような……今回は全てマネージャーである私の責任です……」
こんなに苦々しい顔をしているマネージャーさんを見るのは初めてだと思う。
「いえ…自分の飲める量はちゃんとわかってる人だと思いますので……」
若いころは、かなり無茶をして飲んだり、泥酔して遊びまわっていたりした時期もあったと聞いたことがある。
だけど、私とこういう関係になってから和也が深酒をした記憶はない。
「仰るとおりです。だからこそ、今日は私がその前にお止めしなければならなかっ…「あーはいはい、ンなハナシ、もいって！あーたもさ、うちにヨメさんまたせてんでしょーが！ほらあ、かえったかえった！」
言葉に被せて、座り込んだまま、しっしっと言わんばかりに手で帰れと払う和也に、マネージャーさんは小さく息を吐く。
「あの…ありがとうございました。ここまで送っていただけたので、あとはこちらで…」
「…わかりました。
このような状況でAさんのお言葉に甘えてしまうのは大変心苦しいのですが…。そうさせてもらった方が良いようです…」
マネージャーさんは和也の方に向き直り、いつものシステム手帳を取り出して開いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1111人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kico(プロフ) - ゆうきさん» 初めまして。自己満足で書いてきた勝手な妄想ですが楽しんで頂けたのなら嬉しいです。もう新しいお話は書きませんが、いつかどこかで何かのご縁があった時には♪どのお話にも愛だけは目いっぱい籠めて書いてきました。最期まで読んでくださってありがとうございました^^ (2020年10月12日 9時) (
レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 初めて送ります…ウラつく読者デビューは、この作品でした。とても楽しく読ませて貰いました。もっと読みたいなあと言うのが正直な気持ちです。 (2020年10月9日 20時) (レス) id: 62321c58f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kico
| 作成日時：2016年3月26日 12時
