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「いい天気で良かったね」
「そーね」
基本、お互いに部屋の中で過ごすのが好きだから、まず２人で外に出ようと思わないというのは置いておくとして。
付き合って５年が過ぎたけど、一緒に出掛ける機会はあまりない。
これまでこの車に乗せてもらったのは、和也の実家に行く時と、特別な何かがあった時だけ。
本当に数えるくらいしかない。
それも、念のためにこうして人目に付かないようにスモークを貼った後部座席に身を潜めてひっそりと。
それが、最初から私たちの当たり前。
「きっと綺麗だろうなあ、桜…」
「さあ…相葉さんの言うことだから、わかんないよ？
あの人、大袈裟だもん。あんなこと言って、行ってみたらもうあんまり咲いてないかもしんない」
「いいよ、それでも。こうして和也と一緒に出掛けられただけで十分」
思わず素直に零れた本音に、和也は、前を向いて運転しながら、くはっと笑う。
「ほら、すぐ笑う！笑わないでよ///」
「ん？相変わらず安上りでいいじゃない(笑)」
「バカにしてるもん」
「や、褒めてます」
「褒めてない(笑)！」
ぷいと外を向くふりをして、窓ガラスのスモークに反射して映る和也を見て、クスリと笑みが零れた。
いいの。
これだけで十分嬉しいのは、本当なんだから。
堂々と助手席から隣で彼の運転を見つめているような、普通の恋人同士のドライブ風景に憧れていない訳じゃないけれど。
後悔なんてしていない。
これが、２人で選んだ現実だもの。
私たちが辿り着いた結論はあまりにも簡単で。
でもその結論は、確かにこうして私たちに無限の力を与えてくれているから。
「なによ、まーたニヤニヤしちゃって。昼間っから、やらしーこと考えてんじゃないよ(笑)」
「やだ、そんなこと考えるわけないでしょ！」
「じゃあ、何考えてたの。ん？」
「何って…楽しいなあ…って」
２人でこうして一緒に時を刻めることが幸せなんだなあ…って。
「ふーん。ま、そりゃーよかった」
ふふんと笑いながら、和也が目を細めている。
緩む顔を押さえてもう一度窓の外を見ると、和也も何も言わずにハンドルを切って車を首都高へと乗せた。
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kico(プロフ) - ゆうきさん» 初めまして。自己満足で書いてきた勝手な妄想ですが楽しんで頂けたのなら嬉しいです。もう新しいお話は書きませんが、いつかどこかで何かのご縁があった時には♪どのお話にも愛だけは目いっぱい籠めて書いてきました。最期まで読んでくださってありがとうございました^^ (2020年10月12日 9時) (
レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 初めて送ります…ウラつく読者デビューは、この作品でした。とても楽しく読ませて貰いました。もっと読みたいなあと言うのが正直な気持ちです。 (2020年10月9日 20時) (レス) id: 62321c58f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kico
| 作成日時：2016年3月26日 12時
