愛の在処 2016.2 ページ15
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寝室のクローゼットの前でニットのカーディガンとジャケットを並べて置いてみた。
優しいシルエットの長袖プルオーバーに細身のパンツ。
この上に羽織るならどっちだろう？
さっきベランダに出てみたら、太陽の日差しが暖かくて丁度いい感じだった。
行き帰りは車だし薄手のコートがあるんだから、ニットにしようかな。
だけど、やっぱりジャケットも捨てがたい。
鏡で合わせながら、うーんと唸っていると…
「はあー？…オマエ、まーだやってんの！？」
車の鍵とマスクを手にした和也が廊下から覗き込んできて、呆れた顔で「早くしなさいよー」と笑う。
「さっきから脱いだり着たり…服なんてどれ着たって一緒でしょ。ほら！行くよ！」
「あ、はい！」
和也に急かされて、よし決めた！と、ジャケットを手に取った。
＋＋＋
まだ２月だけれど、なんでも早咲きの桜はもう咲いているらしい。
今日は朝から暖かくて、いい天気。
絶好のお花見日和だ。
「じゃ、オレ、先に下りて車廻してっから」
「うん」
和也がキャップとマスクで先に部屋を出たのを見送った後、もう一度玄関で、火の元と戸締りの最終確認。
ベランダは施錠したし、電気も消した。
バッグの中には、お財布と携帯、ハンドタオルに、ホットコーヒーを入れたステンレスボトル。
そして、手土産のお菓子。
…よし、大丈夫！
玄関の鍵をロックして、私も地下駐車場へと下りた。
＋＋＋
分かってる。
別に、お花見に行く訳じゃない。
和也の先輩のお宅に２人で呼ばれてお邪魔する約束をしていて、お伺いする前に少しだけ遠回りして、早咲きの桜経由で行くというだけのこと。
それでも、無駄なことが嫌いな和也が遠回りだなんて、最初は想像できなくて。
『遠回りって…一体どうしたの？』
『ん？ああ…相葉さんが“スゲー綺麗だったから、出掛けるついでに行ってみて！！”ってしつこく勧めてくんの。
ずーっと知らん顔すんのもめんどーじゃん。
今回は素直に聞いてやろっかなって』
『ふうん…そうなんだ(笑)…』
何となく曖昧な答えに、私も曖昧に頷くと。
『ま、たまには…ね、そーいうのも悪くないんじゃないの？』
ふふんと笑って、頭をぽんぽんと叩かれた。
そっか。そうだよね。
たまには、いいじゃない。
一緒に出掛ける機会なんて、滅多にないもの。
和也に誘ってもらえたことが単純に嬉しい。
今日の私は、お花見気分ですっかり舞い上がっている。
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kico(プロフ) - ゆうきさん» 初めまして。自己満足で書いてきた勝手な妄想ですが楽しんで頂けたのなら嬉しいです。もう新しいお話は書きませんが、いつかどこかで何かのご縁があった時には♪どのお話にも愛だけは目いっぱい籠めて書いてきました。最期まで読んでくださってありがとうございました^^ (2020年10月12日 9時) (
レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 初めて送ります…ウラつく読者デビューは、この作品でした。とても楽しく読ませて貰いました。もっと読みたいなあと言うのが正直な気持ちです。 (2020年10月9日 20時) (レス) id: 62321c58f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kico
| 作成日時：2016年3月26日 12時
