海外から帰ってきた財閥の会長はヤンデレな兄を持ち、キセキ達に気に入られてました？《2》 (ページ36)

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第72Q「待ってて」"★" ページ36

「おにいちゃ、やだっ…。」

僕は真お兄ちゃんの胸を
強く、何度も押す。
やだ、やだ、帰りたくないっ…。
でもお兄ちゃんの体はびくともしない。

真「さあ、帰ろう。」

真お兄ちゃんは僕の体から腕を放したが
その代わり、しっかりと僕の手首を掴んだ。

真「Aがお世話になりました。
お母様にも、そうお伝えください。」

お兄ちゃんにそう告げられたさつきの表情は
酷く悲しそうで、苦しそうだった。

ごめん、さつき…。
本当に、ごめん。僕のせいで…。

康次郎「A、最後に何か言わなくていいのか？」

…最後？
最後って何？
もう、さつきには会えないの？
そんなの、嫌だよ。

「さつき、迷惑かけてごめん。
少しだけだけど、すごく楽しかった。
また、お泊まりし、いっ。」

ズキッと真お兄ちゃんに掴まれてきた手首が痛む。

やっぱりお兄ちゃん達は
もう僕をさつきに会わせないつもりなんだ。

桃井「Aちゃん…。
私、ずっと、ずっと待ってるからね！」

さつきが話終わらないうちに
お兄ちゃんは僕を外へ引っ張った。

離して。
もう…
自由に、なりたいよ。

真「帰ったらお仕置きだな。」

一哉「俺だけのAだからねん。」

弘「それはちげーから。」

健太郎「逃げるなんて馬鹿なこと、
考えない方がいいよ。」

康次郎「ずっと、一緒にいような。」

お兄ちゃん達が僕を囲んでそう言う。

お兄ちゃん達への恐怖なのか、
憎悪なのか、
僕は顔をあげることができなかった。