きみを待っていた

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Ki side


「なぁ、よこーさんと喧嘩でもしてんの？」


控え室からなにも話さなくなったニカに送ってもらう道中、気まずい雰囲気のなか意を決して口にするけれど、こちらを見ることもなく、なにも答えないニカ。なんだよ。わかんねーよ。前を向いたまま難しい顔をするニカを横目に見て、ふぅ、とため息をついた。流れていくネオンを見ながらよく分からないこの現状を考える。何があったのだろう。俺は何から守られてる？しばらく窓の外を見ながら考えていると、キイッと音がして、車が止まる。


2)着いたよ。


目もあわせず不機嫌な声が響いた。あぁ、もう家か。


「ん、ありがと。」


シートベルトを外して気まずい空間から出る準備をする


2)ねぇみつ、

「んぁ？なに？」


はぁ、とため息をついたニカとやっと目があった。


2)よこーさんと喧嘩はしてない。ただ利害の衝突があるだけ。

「利害の衝突？お前がそんなこと言うなんてなに？怖いんだけど。」


予想もしない難しい言葉がニカから出てくることにびっくりする。そんな言葉いつ覚えたんだか。


2)俺はみつを守るって決めた。だから敵側とは仲良くできないってだけ。

「敵？俺、誰かと戦ってんの？」

2)みつは戦ってない。ただやられてるだけ。

「えぇ…？」

2)だから俺が守ってんの。

「意味わかんないんだけど…」

2)俺はもう、みつに傷ついてほしくない。よこーさんは向こうの味方だから、俺はミツの味方になんの。


言ってる意味がわからない。俺の敵がいんの？よこーさんは敵の味方なの？全然理解できない。


2)みつは分かんなくていいよ。俺が守ってあげるから。


ふわりと笑って頭を撫でるニカは、笑っているはずなのになぜかなにも言えない雰囲気を醸し出していた。


2)明日もみんなで撮影だね。迎えの車、一緒にしてもらったからまた明日ね。


そう言って笑ったニカになにも聞けないまま、車が走り去るのを見送った。なんだ？ニカは何から俺を守ってる？何を俺は見落としてる？わからない。わからなくていいと言われてもなんだか気持ちが悪い。もやもやとした思いを抱えたまま車を見送って、部屋へと向かった。

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