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Ki side
「ふじがや、」
宮田と話してから何週間かが経ったある日。今日はメンバー全員の収録。収録の合間、一人たたずむその影に声をかけた。
「ん？なぁにきたやま、」
俺に気付くとふわりと笑って目線を合わせてくれる。こんな小さなことでも少し前の自分達では考えられないことで、くすぐったい気持ちになる。
あれから幾度も考えた。藤ヶ谷が言ってくれたこと。宮田が言っていたことの意味。その間も藤ヶ谷は毎日連絡は来ていたし、会うときには必ずどこかで声をかけてくれて、俺の前で笑ってくれる。そんな毎日を繰り返して。相変わらず慣れることはなかったけど、少しずつ皆と同じような距離感になってきたように思う。だけどそうなって気付いた。藤ヶ谷ばっかりが頑張ってくれていて俺は何にもしてないことに。この状況に慣れようとすることに必死で、こんなにも歩み寄ってくれている藤ヶ谷に任せっぱなしで。
「あの、今日、おれ、これでおわり、なんだけど」
「うん、知ってるよ？一緒だよね？」
最近のスケジュールでは珍しく一緒の終わりの日が今日だった。だから思いきって飯でもどうかと声をかけたんだけど、なんだか上手く言葉が出てこない。
「あ、うん。で、あの、その、このあと、えっと…あの、」
いつも誰かを誘ってる感じで誘えばいい。そう思っていたのに、どうして藤ヶ谷にはできないのだろう。不思議そうな顔をしてこちらを見る藤ヶ谷を見ながら早くいわなくちゃと気持ちだけが焦る。そんな俺をみて何かを感じたのかうん？と考えるような顔をして、それから何かに気付いたような顔で目を見開いた。
「え、あ、えぇ？ほんとに？」
あ、気付いてくれた。まじ？といいながら緩んだ目元。だけど急だし、予定とか入ってたら悪いな…
「あ、予定あるなら、だいじょうぶ…」
「いや！ない！ないから！えっと、あの、きたやま、ごはん、一緒にいってくれませんか。」
俺が言えなかった台詞をすくいあげて、こうやって言ってくれる。そんな優しさがやっぱりくすぐったいけれど。
「…いく、」
もっと知りたい。もっとこの笑顔を見ていたい。
「ふふ、嬉しい。いまから取れるとこあるかな、探してみるね」
そう言って目の前で弾けるように笑ってくれる。こんな時間がくるなんて。
「ん、あり、がと、」
照れ臭くてそれ以上の言葉は言えなかったけれど、心がほんわり暖かくなった。
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imtr(プロフ) - まいまいさん» まいまいさん コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しいです！もう少し続いていきますので、引き続き楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年5月23日 18時) (
レス) id: 768e339076 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - えー、わからない…続きが読みたくて読みたくて気になりすぎです！！面白いです。続き楽しみにしています！ (2021年5月23日 0時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：imtr
| 作成日時：2021年5月19日 12時
