【鬼滅の刃】藤の華 -弐-

伍拾肆話 ページ12

「それはどうかな⁉」









外から伊之助くんの声が聞こえる。


善逸くんの姿も見え、安心した。

無事だったようだ。








「俺を忘れちゃいけねぇぜ、この伊之助様とその手下がいるんだぜ‼」









二人を見た妓夫太郎は何だコイツらと零した。


一拍も置かない内に上から砂利が降ってきて、後から炭治郎くんが降りてきた。









「下っぱが何人来たところで幸せな未来なんて待ってねえからなあ。


全員ﾀﾋぬのにそうやって瞳をきらきらさすなよなあぁ。」









そう言うものの戦える人数が増えたことに苛立っているようだ。




妓夫太郎の存在を初めて認識した炭治郎くんは少したじろいでいる。









「勝つぜ、俺たち鬼殺隊は。」









「勝てないわよ！

頼みの綱の柱が毒にやられてちゃあね‼」









その言葉を聞いた炭治郎くんは勢いよく師範の方を振り返る。



師範はそんなことは御構い無しに話し続けた。









「余裕で勝つわボケ雑魚がァ‼

毒回ってるくらいの足枷あってトントンなんだよ！

人間様を舐めんじゃねぇ‼


こいつらは四人共優秀な俺の“継子”だ。

逃げねぇ根性がある。」









「フハハ、まぁな！」








その勢いのまま三人にわざと聞こえるように上弦の陸の倒し方を言う。

その後にチョロいぜと煽りもつけて。




伊之助くんはそれを聞いて簡単だぜ、勝ったも同然だな！と意気揚々と言った。









「その“簡単なこと”ができねぇで鬼狩りたちはﾀﾋんでったからなあ。


柱もなあ。

俺が十五で妹が七、喰ってるからなあ。」









「そうよ、夜が明けるまで生きてた奴はいないわ。

長い夜はいつもアタシたちを味方するから。


どいつもこいつもﾀﾋになさいよ‼」









それを言い終わるとともに攻撃を仕掛けてきた。



しかし攻撃は師範の元へは届かなかった。





善逸くんが妹の方を屋根へとあげたからだ。









「善逸！」









「蚯蚓女は俺と寝ぼけ丸に任せろ‼

お前らはその蟷螂を倒せ‼ わかったな‼」









伊之助くんはそう言うと外へ出た。

分けられるなら分けた方が都合がいい。



人数がいればいるほど勝率は上がると言う単純な話ではないけれど、仲の良い彼らならきっと上手く連携が取れるだろう。









「妹はやらせねえよ。」

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