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「…どうしてか 聞いてもいいかい?」









優しく問いかけて来てくださった。

一度深く息を吸い込み、深呼吸をしたのち口を開く。









「教えきれていないことがあります。


今のまま柱にしても、実力的には申し分ありませんがあいつが負傷することも考えられます。




師範としては完璧に送り出してやれるというところで柱にしてやりたい。

勿論その間は煉獄の警備地区だったところの鬼も俺が狩ります。



どうか、聞き入れていただきたく存じあげます。」









深く頭を下げた。




あいつは慎重すぎる。

それ故に周りに被害が及ぶこともあるかも知れない。

そしてそれを守ろうとして結果Aが負傷することになるだろう。




そして柱で指揮を取れる人材も少ない。

周りをよく見れるAは指揮をとるのも多分できる。





遊郭のこともある、そこでその能力をもっと伸ばしてやりてぇ。









「天元、顔を上げて。

そこまでAのことを考えてくれているんだね。ありがとう。」









「まさか聞き入れるおつもりですか?」









伊黒含め 数人が驚いた顔をしている。




柱になる実力のあるものがいないのであれば 空席になることはしょうがねぇことだが、

それがあるやつがいるのにもかかわらず柱を空席のままにするということは鬼殺隊にとってもでかい。







それくらいわかってる、けど俺はぶっちゃけ あいつが大事だ。


継子をとるつもりなんざ1ミリたりともなかった俺が 継子にしてぇと思った相手だし、

それに一年程度ずっと稽古をつけてりゃ情もわく。









「私は聞き入れてもいいと思っている。



Aが十分に育った状態で柱になった方が鬼殺隊としても いい方向に向かうだろう。

天元が何もなしにそんなことを言うはずもないだろう。



私は天元を信じている。」









「!」









有難いお言葉に思考が一瞬止まった。


俺にそこまでの信頼を置いてくださっていたことがどれだけ喜ばしいことか。





お館様に向けてもう一度深く礼をした。




他のやつもお館様にそこまで言われては反論しようとは思わなかったようだ。









「ただ、一人で杏寿郎が受け持っていた警備地区を見回るのは難しいだろう。


余裕がある子が天元を手伝ってあげてくれるかな?」









「いえ、俺が言ったことですので……」

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作者名:ヒイロ | 作成日時:2020年4月21日 19時

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