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まだ見つめ合ったまま、互いに口を開かない。
私ではこの人を説得できないのだろうか。
何かいい方法は他にないか。
『冨岡さんは鮭大根が好きなんですよ。
あれを食べているときに笑顔になっていた記憶があります。』
突然脳内にしのぶさんの言葉が響いた。
「鮭大根…」
「何?」
何と見事に食いつかれた。
小さな声でつぶやいたに過ぎないのに食いつくと言うことは相当好きなのだろう。
「今回の命は私主体で行うのです。
そこで、皆さんの好物を共に作り食そうかと思っております。
……もちろん鮭大根も。」
ぴくりと反応された。
この方……意外と可愛らしいところがあるのかもしれない。
成人男性とはいえ、好物をちらつかされては反応してしまうのだろう。
「実は私、幼いころより厳しく育てられておりまして…その中で料理も教わっているのです。
腕に関してはある程度保証できますよ、宇髄さんに振る舞った時もすごく喜ばれましたから。
それに煮物が得意なのです、鮭大根もきっと美味しく作れますよ。」
目を開いて動揺されている。
今まであまり表情を変えなかったので、その表情を見られて少し嬉しくなった。
「そこまでして俺に構う理由は、何だ。
理解ができない、会ってまだそれほど経ったわけでもない。」
「会ってまだ日が浅いからこそですよ。
それに冨岡さんは優しい方だと、なんとなく感じておりますから。
それに惹かれているのかもしれませんね。」
笑顔で告げると少し困った顔をされた。
惹かれているは言い過ぎたかもしれない、変な意味で捉えられて引かれてしまっていたらどうしよう。
と考えていると、冨岡さんが口を開いた。
「俺に、惹かれている?」
そこを掻い摘むのですね…これはお館様もしのぶさんも手を焼くはず。
「えぇ、人として魅力のある方だと思っております。
もちろん 非鳴嶼さん、宇髄さん、不死川さん、伊黒さん、しのぶさん、蜜璃ちゃん、無一郎くん…皆さんも同じように思っております。」
そう言うと少し不思議そうな顔をされてしまった。
「お前も大変だな。
わかった、参加はしよう。
どれだけ言っても無駄なようだからな。」
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作者名:ヒイロ | 作成日時:2020年4月21日 19時