検索窓
今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:86,708 hit

6話 ページ7

あの後マルコさんとナースのお姉さんは検査に必要な器具なんかを持ってくる、と言って部屋を後にした。

点滴が取れないようにベットから動かないでと言われたから立ち上がって何かをすることは出来ない。

『(声も出ないし…いつ戻るんだろ…)』

きっと喉が乾燥するほど何日も寝ていたせいだろう。
筆談は時間もかかるしめんどくさいから早く戻って欲しいところ。

「開いてる…あ!!!!人魚姫起きてんじゃねぇか!!」

ドアのかすかな隙間から見えた短い黒髪と目に、思わず肩が跳ねる。人魚姫って私のこと…?

私が何も答えないからか、声色が少し変わった。

「やっべ大声出すなって言われてんだった……悪りぃ、びっくりしたよな」

ここでもまた声が出ないことがもどかしい。たしかにびっくりしたがそんな大したことじゃなかったし。

私はここから動けないし喋れないし、どうしたものかと少し考えた結果、メッセージを書いた紙で紙飛行機を作って飛ばすことにした。【なんで入ってこないの?】っと……多分見ただけだと分からないから、翼の部分に【開けて】って矢印と一緒に書いておこう。

紙飛行機なんて最後に飛ばしたのいつだっけ。そんなことを思いながらふんわり投げると、隙間をくぐり抜けて向こう側の床に着地した。

「すっげぇ!!!なんだ今の!!紙が飛んできた!!

ん…?あぁ、マルコ…あのパイナップルみたいな髪型したやつにお前は何しでかすかわかんねぇから入んなって言われてんだよ、だから入りたくても入れねぇ」

不覚にもパイナップルで笑ってしまった。声は出ずとも口角は上がっている気がする。

「そういや名前言うの忘れてたな、おれはポートガス・D・エース!エースって呼んでくれ!」

私も急いで紙に名前を書いて飛ばす。紙を開ける音が聞こえた後、エースは難しそうな声で言った。

「五条……冴って読むのかこれ…?



いい名前だな!頭良さそうだ!」

名字は御三家の象徴、名前は少なくともいい意味じゃ使われないし、小さい時からずっと名前は嫌いだった。それに五条と名乗れば、あそこじゃあまりいい顔をされなかったから。

でも、こんな風に褒めてくれる人がいるんだ。


嫌いな名前がちょっとだけ好きになった。

7話→←5話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (349 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1111人がお気に入り
設定タグ:ワンピース , 呪術廻戦 , 女主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ミクリ - え?もしかして五条さん呪詛師になっちゃった??マジか!妹ちゃんが亡くなったのが原因か…もしかして五条さん(兄)もワンピースの世界に飛ぶんですかね? (8月14日 21時) (レス) id: a55a9cd9ea (このIDを非表示/違反報告)
にの - 12話の最後で「えっ…?」て声が出てしまいました。これからも楽しみにしてます! (2022年10月16日 21時) (レス) @page14 id: 11a3c31381 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 面白かったです。一気読みしました!戦闘シーンが楽しみです。この先どうなるのか気になりますね。続き楽しみにしています! (2022年10月3日 17時) (レス) id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - 面白くて一気に読みました…!更新楽しみにしてます!! (2022年8月29日 22時) (レス) @page10 id: 7565f8d7cb (このIDを非表示/違反報告)
うに - 求めていたものがここにあった...!!すきです!!!!! (2022年8月24日 18時) (レス) @page10 id: df676e7219 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鯖の塩焼き | 作成日時:2022年3月29日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。