1話 ページ2
「続いては、今若者の間で大流行しているアーティスト、きっとっとさんのナゾに迫ってみました!!」
女子アナが明るい声で言うと共に、私は勢いよくテレビの電源を切った。
『今話題のアーティストいっぱいいるのに、なんで私……ほんと意味わかんない』
そう、このウルトラ内弁慶こじらせクソ陰キャの私が、【きっとっとさん】本人である。なんでこんな有名になったのかはわたしにも分からない。
その日は通信制高校には年に数回しかない登校日で、昼間私によくしてくれる先生に勧められて、帰ったあとに自分の歌った動画を世に出した。すると次の朝起きたら携帯の通知がバンバン飛んできていて、調子に乗ってもう一本出したらさらに携帯が鳴り止まなくなった。
お陰で今、私はこんな夕方の全国ニュースに乗るくらいの有名人になった。
そりゃあビビり散らかしてアカウントを消そうか一瞬迷った。でも沢山の人に褒められて悪い気はしなかったから、結局今もダラダラと動画投稿を続けている。
次はどんな曲を作ろうか。アいやその前にネッ友と一狩りいくのもいいかもしれない。ソシャゲ今推しのガチャやってるし完凸目指して頑張るのは……ダメだ、金がなくなる。
どうでもいいことを考えて、無意識にTwitterを開いて見ると。
『…ん?DM来てる』
『日本フットボール連合…?』
私は知らない。このメールが、後に私の人生を大きく変える出来事へと導くことに。
私は知らない。
ここで歴史的瞬間を見届けることを。
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凪超可愛い可愛い - 頑張って (2022年9月11日 18時) (レス) @page3 id: e0d32b81e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鯖の塩焼き | 作成日時:2022年9月11日 17時