新雪に咲いた花 (童磨) ページ19
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「……むにゃ……」
「うーん……かわいいなあ……」
眠っているAの頬を優しく撫でる。
俺は睡眠を必要としないんだけど、完全な鬼じゃないAはたまにこうして眠るんだ。
その間俺は、Aの傍につきっきり。
「んうう…………」
こんな無防備に眠っているんだ。万が一鬼狩りが来たら大変だろう?
まあ、Aには指一本触れさせてなんてあげないけれど。
Aがころんと寝返りを打つと、新雪のような髪がはらりと床に広がる。
相変わらず綺麗だなぁ……。
柔らかな髪を手に取ると、せっせと緩い三つ編みにしていく。
Aは髪が長くて綺麗だから、きっと似合うと思うんだ。
青い髪紐を蝶結びにして、三つ編みを完成させる。
……なんだか物足りないけれど、あいにくこの部屋に髪飾りの類はない。どうしようか。
「あっ、いい事を思いついたぞ」
三つ編みのあちこちに、俺の血鬼術で氷の花を咲かせていく。
きらきらと部屋の灯りを受けて輝くそれは宝石のようだった。
「……んう……?」
「あ、起こしちゃった?」
眠たげに目を擦りながら起き上がるA。
小さく欠伸をしながら首を横に振った。
「おはよう……童磨しゃま……」
「おはよう、A。まだおねむかな?」
ちがうもん、と頬を膨らませるAが可愛くて仕方がない。
俺は頬を緩めながら、Aに手鏡を渡した。
「ね、ね、見てご覧。Aが眠っている間に俺が可愛くしたんだよ!どうかな?」
ぽかん、と手鏡を覗き込むA。あれれ?もしかして気に入らなかった……?
「髪飾り、違うのにし……」
「すっごくきれい……!きらきら!童磨さま、すごい!すごい!」
慌てて提案すると、まぁるい瞳をきらっきらに輝かせて俺と手鏡を忙しなく見るAの笑顔があった。
「どんなかみかざりより、童磨さまの氷がいいの!」
「A、どこでそんなころし文句覚えたの?」
「え?」
不思議そうに首を傾げるAを抱き上げると膝に乗せて抱きしめる。
Aはずっと、俺が幸せにしてあげるからね。
「童磨さま、またかみ、きれいにしてくれる?」
「ああ、もちろん!かわいいAのためならね!」
そう答えると俺は新雪に咲いた花にそっと口付けを落とした。
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久しぶりに書いたら感覚を忘れてて難産でした……!
いかがだったでしょうか?
感想等頂けたら励みになります……!
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こよみ(プロフ) - 春斗さん» はじめまして。いつも読んで下さってありがとうございます!また、リクエストやお気遣いまで非常に嬉しいです〜!ゆっくりではありますが、これからも書き続けるので楽しみにしていただけると嬉しいです! (2021年6月30日 8時) (レス) id: 425489c0a2 (このIDを非表示/違反報告)
春斗(プロフ) - 初めまして。こちら楽しく拝読させて頂いております!リクエストなのですが、累くんのところに遊びに行く夢主くんと、それについていった童磨が気になります…!この時期は特に体調崩しやすいので、ご自愛下さいませ。お身体お大事になさって下さい…! (2021年6月30日 3時) (レス) id: 8cfab7cc4c (このIDを非表示/違反報告)
こよみ(プロフ) - charaさん» リクエストと感想ありがとうございます……!とっても励みになります(*´ω`*) 更新頑張りますね! (2021年6月27日 14時) (レス) id: 425489c0a2 (このIDを非表示/違反報告)
chara(プロフ) - リクエストで猗窩座との絡みが見たいです・・・追記このお話めっちゃ面白くて好きです!無理のない程度で更新頑張って下さい!! (2021年6月27日 14時) (レス) id: fa1ff43ec6 (このIDを非表示/違反報告)
こよみ(プロフ) - 狼河@チビ同盟さん» リクエストありがとうございます……!堕姫ちゃん!お話練ってみますね! (2021年3月12日 19時) (レス) id: c39eaef263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こよみ | 作成日時:2020年2月14日 1時