【男主】童磨が子供を拾った？ようです【鬼滅短編集】

遊びましょ？ 2 ページ13

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…………遅い。
もう約束の時間なのに、いくら待ってもAの姿がまだ見えない。
那田蜘蛛山の入口にある、大きな木の下。そこがいつものAとの待ち合わせ場所だった。

今日は何をして遊ぼう、どんな話を聞かせようか……そう、楽しみに考えながらここに来たのに。
まさかA、約束を忘れた？


｢いや、そんなわけない。Aになにかあったのかもしれない……｣


Aは約束を破るような子じゃない。
ひとりごとを呟いて気配を探ると、ここからすぐ近くにAの気配を感じた。
道草でも食って、時間を忘れているかもしれない。


｢仕方ない、迎えに行こう｣


今夜は鬼狩りが出るような気配がないし、僕はAを迎えに行く事にした。





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｢……これを、こうして……｣

｢こう？｣

｢うん、あっているよ。Aは手先が器用なんだね｣


……魘夢くんがぼくを連れてきてくれたのは、那田蜘蛛山のすぐ近くにある川だった。
その川原にはたくさんのれんげ草が咲いていて、とっても綺麗なんだ……！
那田蜘蛛山にはよく来るんだけど、ここは知らなかった。


｢ほら、このはみ出た茎を折り込んで……｣


魘夢くんに教えて貰いながら、少しずつ手を動かして行く。
もう少しでおみやげが完成するんだ。
累くんが喜んでくれたらいいんだけど……

夢中で手を動かしていたら、後ろからよく知った声が聞こえてきた。


｢……見つけた。A……と、魘夢？｣

｢やあ、累。久しぶり。……ちょっと散歩をしていたらたまたまAと会ってね。君のところに遊びに行くって聞いたから、着いてきたんだ。｣

｢累くん！……ごめんね、待たせちゃって……どうしても渡したい物があって｣


累くんはちょっと不機嫌そう。ぼくが待たせちゃったからだ。


｢渡したい物？なに？｣

｢えっとね……これ！｣


ぽふ、と累くんの頭に乗せる。
それはれんげ草で編んだ花かんむりだった。
累くんは髪も肌も白いから、濃い桃色の花が映えて綺麗だ。


｢……花、かんむり……？｣

｢うん！遊びに行くのにおみやげを渡したかったんだけど、何も持ってなかったから……魘夢くんに教えてもらって作ったんだ｣


すっごく似合ってるよ、って教えてあげたら、累くんは大事そうに花かんむりを頭から外した。

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