【男主】童磨が子供を拾った？ようです【鬼滅短編集】

一目惚れ (童磨) ページ2

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｢そう、可哀想に……｣


今日もいつも通り、あくびが出そうな長ーい信者の身の上話を聞いて、哀れんで涙を流す。
極楽なんてないのにね。そんなの御伽噺なんだよ。
……それが分からないから、こうして俺に縋るしかないんだろうけれど。

可哀想に。幸せという極楽を夢見ることしか出来ない愚かな人間達。


｢……教祖様、次の信者が｣

｢ん、入ってもらって｣


帽子を被り直して返事をする。
次の信者は家族だ。母親、父親……そして子供。


｢教祖様……どうかお助けください……｣

｢うちの子を……どうかお助けください……もう長くないんです……｣

｢……｣


部屋に入るや否や、泣きながら土下座して懇願する両親。
子供はそんな両親をぼんやり見つめていた。

話を聞くと、子供の名前はA。
不治の病に冒されていて……長くないと医者に匙を投げられたらしい。


｢そっか……それは大変だね……｣


Aを見やると未だにぼんやりしている。
……あ、目が合った。


｢！！｣


ちょっと待っておくれ、なんだこの胸の高鳴りは？
きらきらした瞳に射貫かれた瞬間、雷が落ちたような……不思議な衝撃？に襲われたよ。

もしかして……恋ってやつかな！？
どうしよう、俺初めてかも！すごい！不思議な感覚だ！


｢……俺がその子を救ってあげよう｣

｢！本当ですか教祖様……！｣

｢ああ、本当だとも｣


にっこりと笑みを浮かべる。
今から楽しみでたまらない。Aを早く手に入れたい。


そのためには、まずこの両親を食い殺さないとね？

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