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早朝に宇髄さんと会話をした後、私は杏寿郎さんの元へと向かった。
どちらにせよ、今日は稽古をつけてもらう予定だったからだ。

「おはよう!!今日も元気そうだな!感心感心!!」
「おはようございます。杏寿郎さんも元気そうで良かったです」

門の前で待っていてくれたらしい杏寿郎さんに挨拶をする。
宇髄さんから聞いていた通り、杏寿郎さんはすっかりいつも通りになっていた。

「実は頭がとても痛い!」
「あっ二日酔いっていうやつですか?」
「そのようだな!!しかし、この程度の痛みで心が折れる俺ではない!!」

お酒を飲んだことがない私は心配だが、杏寿郎さんが大丈夫だと言うのなら大丈夫なのだろう。
もし、途中で体調が悪そうになったらそのときは休憩を提案すれば良いのだし。
そう思って、私たちは早々に稽古を開始した。

思えば、杏寿郎さんの継子となってすぐの頃はこの稽古が本当に辛くて、いっそ死んだ方がマシなんじゃないかと思うこともあった。
今だって辛いことには変わりはないのだけれど、身体が慣れてきたというのもあるし、何より杏寿郎さんは出来ないことを強要する人ではないのだと分かってからは、頑張ろうと思えるようになったのだ。

面倒見が良くて、教え方も上手くて、誰よりも私のことを褒めてくれる人。
どんな生き方をしていても、杏寿郎さんはきっと今のように沢山の人から慕われていたことだろう。

「杏寿郎さんは、鬼殺をやめたいと思ったことはないんですか?」

ふと、そんな疑問が浮かんで口にした。
私が杏寿郎さんの厳しい稽古を受けているように、かつては杏寿郎さんが槇寿郎さんの厳しい稽古に耐えてきたはずだ。
杏寿郎さんの家系は炎柱を継承してきたけれど、私たちのような仇として見てる人よりも、鬼に対する恨みや憎悪の念は薄いんじゃないかと思っていたのだ。

「ないな!」

しかし、杏寿郎さんはきっぱりとそう言い切った。

「俺は幼少期より炎柱を継ぐものと考えていたが、一切の疑問もなかった上に嫌だと思ったこともない!」
「すごい信念ですね…!」
「強く生まれた者は弱き者を守ることが責務だという母の教えがあったからな!」

以前、杏寿郎さんはお母様のことを立派な人だったと言っていた。
その背景にこの言葉があったのかと思うと、妙にしっくりとくる。

「だから俺はこれからも鬼殺をやめたいと思うことはない!」

そう断言する杏寿郎さんの横顔は、とても眩しいものだった。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ティカさん» はじめまして、お読み頂きありがとうございました。数ある作品の中から、ティカさんの中で1番だと思って頂けたことが本当に光栄です。これから先、更に心に響くものが書けるようより一層精進して参りたいと思います。コメントありがとうございました! (2021年3月4日 18時) (レス) id: fbcf0daba9 (このIDを非表示/違反報告)
ティカ(プロフ) - あなたの小説とても大好きです!!これからもがんばってください!!応援してます!!!!! (2021年3月4日 1時) (レス) id: 0c31e8c5ec (このIDを非表示/違反報告)
ティカ(プロフ) - コメント失礼します。今回、ましろさんの作品を初めて読まさせていただきました。時間も忘れて夢中になって読んでしまいました...。とても感動するもので、今まで読んだ夢小説の中で一番好きです!最後の方は涙が止まりませんでした(T-T) (2021年3月4日 1時) (レス) id: 0c31e8c5ec (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - 羽っこ。さん» 失ってしまったものは元に戻らないですが、人生はこれからも続いていくので、生き続けて欲しいという願いで書きました。上手く汲み取って下さり、ありがとうございます!コメントありがとうございました! (2021年2月10日 10時) (レス) id: fbcf0daba9 (このIDを非表示/違反報告)
羽っこ。(プロフ) - コメント失礼します!番外編読みました…!凄く感動しました。本編もそうですがその夢主ちゃんの強く生きていこうとする様子に心打たれました。切ないながらも希望に満ちている感じが凄く好きです!(^-^) (2021年2月9日 22時) (レス) id: 14df97ccd2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作成日時:2020年12月31日 15時

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