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「貴方が悔しいと泣いて下さって……そんな風に煉獄を思って下さって……私は嬉しいと思います。だから、私は彼の最期に立ち会うことが出来ませんでしたが、彼を1人にせず看取って下さったこと、本当にありがとうございます」
「っ……！」
「妹さんにもありがとうとお伝えしてください」
そうして、Aさんは深々と頭を下げた。
俺はこの人に何が言えるのだろうか。
言えることなんて一つもないだろう、何を言っても俺はこの人が纏う悲しみを晴らすことは出来ないし、失ってしまったものは元には戻らない。
それは俺だけじゃなく、この人もよく分かっていることだろう。
俺は「情けないところを見せてしまい、すみませんでした。今日は、千寿郎くんとしのぶさんから預かっているものがありまして…」と、まずは千寿郎くんから預かっていた羽織を差し出した。
「これは……」
「煉獄さんの羽織です」
「そうですか……千寿郎くんは……」
Aさんはこの羽織が持つ意味を知っていたのだろう。
これは、煉獄さんの家系が代々炎柱を継いできた証である。
Aさんは羽織を手に取ると「私が受け取ってしまって良いのでしょうか…」と呟いた。
「千寿郎くんが、どうしても貴女に受け取って欲しいのだと言っていました。俺は何も口出しは出来ませんが、千寿郎くんの気持ちです」
「そうですか……すみません、確かに受け取りました」
Aさんは羽織をぎゅっと抱き締めると、溜めていた息を吐き出した。
「私は…煉獄の葬儀には行かなかったので、こうして彼が最後に身に付けていた形見はありませんでした」
「そうなんですか…？」
「最後ぐらい家族水入らずの時間にしてあげたくて、遠慮してしまったんです。後から少しだけ後悔もしていたので、羽織を渡すに足る人物だと思って頂けて、よかった……」
切実な声色だった。
本当は煉獄さんに会いたかったであろう彼女が、煉獄さんの家族にどう思われるのか不安になりながらも、会わないことを選んだことが、俺にはとても出来ないことだと思ったから。
俺はまた胸が痛くなった。
失ったものの大きさを痛感して、奥歯を必死に食いしばった。
「それと、それと……これは、胡蝶しのぶさんから預かったものです」
「しのぶさんが…？」
「はい、貴女に渡して欲しいと言っていて」
三つ折りになった紙を彼女に差し出すと、彼女はそれを確認して、目を見開いた。
そして、彼女は立ち上がると棚の上にあった木箱を手に取った。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ティカさん» はじめまして、お読み頂きありがとうございました。数ある作品の中から、ティカさんの中で1番だと思って頂けたことが本当に光栄です。これから先、更に心に響くものが書けるようより一層精進して参りたいと思います。コメントありがとうございました！ (2021年3月4日 18時) (
レス) id: fbcf0daba9 (このIDを非表示/違反報告)
ティカ(プロフ) - あなたの小説とても大好きです！！これからもがんばってください！！応援してます！！！！！ (2021年3月4日 1時) (レス) id: 0c31e8c5ec (このIDを非表示/違反報告)
ティカ(プロフ) - コメント失礼します。今回、ましろさんの作品を初めて読まさせていただきました。時間も忘れて夢中になって読んでしまいました...。とても感動するもので、今まで読んだ夢小説の中で一番好きです！最後の方は涙が止まりませんでした(T-T) (2021年3月4日 1時) (レス) id: 0c31e8c5ec (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - 羽っこ。さん» 失ってしまったものは元に戻らないですが、人生はこれからも続いていくので、生き続けて欲しいという願いで書きました。上手く汲み取って下さり、ありがとうございます！コメントありがとうございました！ (2021年2月10日 10時) (レス) id: fbcf0daba9 (このIDを非表示/違反報告)
羽っこ。(プロフ) - コメント失礼します！番外編読みました…！凄く感動しました。本編もそうですがその夢主ちゃんの強く生きていこうとする様子に心打たれました。切ないながらも希望に満ちている感じが凄く好きです！(^-^) (2021年2月9日 22時) (レス) id: 14df97ccd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月ヶ瀬ましろ | 作成日時：2020年12月31日 15時
