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翌朝、私が目を覚ますと既に着替え終わった杏寿郎さんが私の寝顔を見つめていた。
「おはよう！よく眠れたようで何よりだ！」
「おはようございます……」
「む、どうした？」
杏寿郎さんはそう言って首を傾げるのだけれど、その姿はいつもと同じく隊服を整然と着こなしている状態。
対する私は起き抜けのぼんやりとした顔に、衣服だって着崩れている状態で、なんだか恥ずかしい。
そんな姿をずっと見られていたのかと思うと、少しだけ悔しかった。
私だっていつもとは違う杏寿郎さんの気が抜けている姿を見たかった。
そんな幼稚な発想をした私は杏寿郎さんが見えないように布団で顔を隠す。
すると、杏寿郎さんは「案ずるな！君は寝顔も愛いぞ！」と言ったのだが、これはそういうことではない。
「杏寿郎さんは私への判定が甘いから駄目です。信用できない……」
「よもや！信じ得ないというのか！」
「それに私は杏寿郎さんの寝顔が見たかったのに……もっと頑張って早起きすればよかったです」
むぅ、と私が口を尖らせると杏寿郎さんは目を丸くした。
そんなにおかしなことを口走っただろうか。
でも、殿方はこういう乙女心が分からなさそうだ。
しかも、杏寿郎さんとなると尚更だと思う。
「A」
「はい」
「今から二度寝をしようと思う！」
「はい…？」
言うや否や杏寿郎さんは再び布団へ潜り込んだ。
私は慌てて「もう着替えてるじゃないですか！」と杏寿郎さんの腕を掴んで引っ張り出す。
もちろん、体躯がいい杏寿郎さんの身体は頑として動きはしなかった。
「君が見たいと言うのなら見せよう！存分に見てくれ！」
「い、いいです！そこまでしなくても……本当に大丈夫ですから！」
私が顔を隠していた掛け布団まで引っ張り出したので、私は一生懸命抵抗した。
そこまでして見たいわけじゃなかったし、ちょっとした出来心だったのだ。
だけど、杏寿郎さんはそれを本気として受け取ったようで本当に目を閉じて寝ようとしている。
しかも、掛け布団を引っ張る力がものすごく強い。
ついに綱引きならぬ布団引きに負けてしまった私は、掛け布団ごと杏寿郎さんに引っ張り込まれた。
2人して頭から掛け布団を被った状態になって、杏寿郎さんがそっと瞼を持ち上げる。
「冗談だ」
至近距離で杏寿郎さんがおかしそうに笑った。
そこで、ようやくからかわれていたのだと悟った私は、布団の中で杏寿郎さんの胸板をぽかぽかと叩いた。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - ティカさん» はじめまして、お読み頂きありがとうございました。数ある作品の中から、ティカさんの中で1番だと思って頂けたことが本当に光栄です。これから先、更に心に響くものが書けるようより一層精進して参りたいと思います。コメントありがとうございました！ (2021年3月4日 18時) (
レス) id: fbcf0daba9 (このIDを非表示/違反報告)
ティカ(プロフ) - あなたの小説とても大好きです！！これからもがんばってください！！応援してます！！！！！ (2021年3月4日 1時) (レス) id: 0c31e8c5ec (このIDを非表示/違反報告)
ティカ(プロフ) - コメント失礼します。今回、ましろさんの作品を初めて読まさせていただきました。時間も忘れて夢中になって読んでしまいました...。とても感動するもので、今まで読んだ夢小説の中で一番好きです！最後の方は涙が止まりませんでした(T-T) (2021年3月4日 1時) (レス) id: 0c31e8c5ec (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬ましろ(プロフ) - 羽っこ。さん» 失ってしまったものは元に戻らないですが、人生はこれからも続いていくので、生き続けて欲しいという願いで書きました。上手く汲み取って下さり、ありがとうございます！コメントありがとうございました！ (2021年2月10日 10時) (レス) id: fbcf0daba9 (このIDを非表示/違反報告)
羽っこ。(プロフ) - コメント失礼します！番外編読みました…！凄く感動しました。本編もそうですがその夢主ちゃんの強く生きていこうとする様子に心打たれました。切ないながらも希望に満ちている感じが凄く好きです！(^-^) (2021年2月9日 22時) (レス) id: 14df97ccd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月ヶ瀬ましろ | 作成日時：2020年12月31日 15時
