重なり ページ37
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「その格好久々に見た」
土曜日、わださんの家に泊まる時にいつも着ていた部屋着。
いつぶりだろうか。
落ち着く着心地とわださん家の匂い。
「前の感じが戻ってきたみたいで……なんか嬉しい、笑」
優しく笑うわださんを見て泣きそうになるのを堪える。
「……今日、泊まってい、?」
「…ほんと、?」
「うん………なんか前の感じ、戻ってきた…笑」
「やった、!おいでっ」
わださんの胸にゆっくり飛び込んだ。
いつも私がするように、今日はわださんが私を撫でる。
心地よくて、安心する。
わださんの手は大きくて、優しくて、温かくて。
「…………っ、………ぅぅ、…、っ、………」
涙腺が緩んだのか涙が出てきた。
「Aちゃん?どしたー?」
「……っ、………っ、………わださ…ん……っ、…」
全部言うんだ。
「……………っ、……………ごめんなさぃ…」
「Aちゃん…」
「………っ、…………ごめんなさい……」
指で涙を拭ってくれるわださんから身体を離す。
その手を掴んで少し強く握った。
怖かった。
「………………浮気してた…」
「……っ、」
「…………わださんは、………………………………2ばんめ………っ、…んっ、…!?」
的が外れた。
わださんに嫌われてもいい。
怒られてもいい。
殴られてもいい。
それ程のことをしたんだから。
それが普通だ。
そう思ってたのに。
不意に唇がぶつかった。
それも少し長くて、酸素が足りなくなって、苦しいくらいの。
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作者名:やきぷりん | 作成日時:2021年9月22日 2時