蜘蛛が5匹 ページ6
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「ご飯できたわよー」
しばらくしていると奥から大人の女の、これまた累に似た姿の鬼がやってきた
「あら累、それご飯?」
ふわっと優しい顔でその鬼は尋ねた
その瞬間、その鬼の頬に小さな切り傷が出来た
「母さん、Aは僕らの妹。みんなも人間だからって妹のこと食べようとしたら殺すから」
食卓に揃った鬼達に少し冷たく累が言い放つ
「だいぶ汚れてる。母さんご飯の前にAを風呂に入れてきてよ」
ずっと握っていた手を母さんと呼ばれた鬼は少し見る
「……わかった、お母さんに任せて!他のみんなはもう食べちゃいなさい」
累に託されたAの手が母親に少し強張って握られる
「ありがとう、じゃあみんな食べようか」
振り返ると食卓についた鬼達は揃ってご飯を食べていた
「私はこの家族の母親よ、これからよろしくね」
「Aです、よろしくお願いします」
「そんなにかしこまってちゃだめ。お母さんとか好きに呼んでね」
風呂を沸かしながら母親はいろいろなことを教えていた
この''家族''には血の繋がりは無いこと
今は姉が2人、兄が1人、両親、累の6人で住んでいたこと
そして自分達は主食が人間の人食い鬼であること
「鬼だからって怖がらないでね。大丈夫、誰も家族を食べようとなんかしないわ」
優しく、少し拙い動きでAの頭が撫でられた
お風呂の入り方がわからないというAのために母親は体を流してくれた
お風呂から上がるとAはまた泣いていた
「ごめっ……ごめんなさい!……どうして泣いているの?私が……私が何かしたの?」
Aの涙に気付いた瞬間、タオルで涙を拭いながら小声で母親が焦る
「違うの……お風呂が暖かかった……今まで水にかかる事しかなくて……あとお母さんが優しくて……」
安心の涙を溢しながら言うAを母親がぎゅっとタオルと共に抱きしめる
「Aのことは……お母さん絶対守るからね」
これはAにとって初めての温もりだった
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向日葵蜜柑 - 此れが家族の絆ってやつなんですね、感動物語です!!!!!! (2023年3月16日 16時) (レス) id: 02a4ca8853 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵蜜柑 - ッッッ 涙がッッッ!!!!! もう本当にいい話!!!!ガチめに泣きました!!!(((((好きです← (2023年3月16日 16時) (レス) @page30 id: 02a4ca8853 (このIDを非表示/違反報告)
みゃぁ。 - すごい好きです。この作品。なんでもっと早くに出会えなかったんだろう…。すごく感動して泣いてしまいました。 (2022年12月15日 23時) (レス) @page30 id: 253b777aaf (このIDを非表示/違反報告)
レベ - 感動しすぎて家族に心配されました。累の夢小説いっぱい見たが、こんなに泣く話は初めて。 (2022年11月29日 17時) (レス) @page30 id: ea3111d08d (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - こ………んに…ちは。泣いてます。はい。る〜い〜!! (2022年3月25日 21時) (レス) @page30 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まひな | 作成日時:2020年3月25日 23時