検索窓
今日:66 hit、昨日:22 hit、合計:599,877 hit

蜘蛛が1匹 ページ2

.





燃えるような夕日もすっかり隠れた頃のことだ



那田蜘蛛山の麓の草の陰から子供の啜り泣く声が聞こえてきた




「………誰?」



どこから出てきたのだろうか、白色の綺麗な着物を着た少年が声を掛けた



櫛でといたことがあるのかというほどボサボサな髪



擦り切れてボロボロな着物と汚れた顔




とても人には見えない''それ''の小さな手には大きな水汲み桶が握り締められていた



髪の隙間から覗く大きな目は少年をじっと捉えていた




「喋れないの?ねぇ君、聞いてる?」



見つめたままでピクリともしない''それ''に少しの苛つきを見せた少年が言う




「ごめんなさい……お母さまの言いつけでお水を汲んでこなくちゃいけないのに……迷子になって……」




泣きながら''それ''が口にした、お母さまという言葉に少年は反応した




「……母さま?君には家族がいるの?」




「……わからないの」




「どういうこと?」




少年が尋ねたことをきっかけに、''それ''はぽろぽろと大粒の涙を溢しながら呟いた




物心ついたころには両親共に生きていなかったこと



親戚と名乗る夫婦と2人の子供のいる家庭に引き取られたということ



仕事があるときだけ声を掛けられ、それ以外はいないものとして扱われている日常



いつも幸せそうな2人の姉との格差




愚痴を言う相手もいなかったのだろう


泣きながら見知らぬ少年に溢していた




自分よりも一回りほど小さな''それ''の言葉を黙って聞き、少年は何を思ったのか




「君さ、そんなに辛いなら僕の家族にならない?」




と尋ねた






.

蜘蛛が2匹→←登場人物



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (974 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
894人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , ,   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

向日葵蜜柑 - 此れが家族の絆ってやつなんですね、感動物語です!!!!!! (2023年3月16日 16時) (レス) id: 02a4ca8853 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵蜜柑 - ッッッ 涙がッッッ!!!!! もう本当にいい話!!!!ガチめに泣きました!!!(((((好きです← (2023年3月16日 16時) (レス) @page30 id: 02a4ca8853 (このIDを非表示/違反報告)
みゃぁ。 - すごい好きです。この作品。なんでもっと早くに出会えなかったんだろう…。すごく感動して泣いてしまいました。 (2022年12月15日 23時) (レス) @page30 id: 253b777aaf (このIDを非表示/違反報告)
レベ - 感動しすぎて家族に心配されました。累の夢小説いっぱい見たが、こんなに泣く話は初めて。 (2022年11月29日 17時) (レス) @page30 id: ea3111d08d (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - こ………んに…ちは。泣いてます。はい。る〜い〜!! (2022年3月25日 21時) (レス) @page30 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まひな | 作成日時:2020年3月25日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。