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「そうじゃ田村」
「なんだ？」
「妾の煙管はどこにあるか知っておるか？先ほどから見当たらぬのじゃが……」
「煙管？そんなもの吸っていたのかい？」
「え？……あ、そうじゃな、すまぬ忘れてくれ」
＿＿何かが可笑しい。段々とAの頭にはその言葉が浮かぶようになってきた。
最愛の夫に目に入れても痛くない子供達。
極一般家庭のような平和。幸せ。
何もかもが何時も通りの筈なのだが、何かが違うとAの中の何かがそう訴えかけているのだ。
(はて、煙管……煙管？妾は何故煙管を？)
そもそも自分は煙管なんて……と思いかけたところでAの思考は一旦止まる。
＿＿次々と年老いて死んでいく知り合い。
＿＿自分の腕の中で死した夫。
＿＿息を引き取った若いままの子供達。
ここまで思い出してAは「あ……」と声を漏らした。
嗚呼、ここは夢の中なのか。
そうだ、とっくの昔に夫と子供たちは死んでいたではないか。
途端にAの服装は十二単から元々着ていた隊服に戻る。
「？鈴鹿御前？どうしたのです？それにその服装は……」
「……お主、田村ではないだろう、ボロが出ておる」
今思えば可笑しい話なのだ。
何故Aの夫がAのことを“A”ではなく“鈴鹿御前”と呼ぶのか。
何故田村は口調が安定していないのか。
Aが何故何故と考えれば考えるほど“この世界”のボロが出てくる。
これは十二鬼月の下弦である魘夢の血鬼術なのだが、如何せんAは魘夢が生きるよりも……と言うか鬼舞辻無惨が産まれる前から気が遠くなるような時間を過ごしている為、さすがの魘夢でも完璧に夢の中を再現する事が出来なかった。
それがゆえのあのボロの出具合なのだ。
「？何のこと？」
「まず一つ。田村はそんな口調でない」
「く、口調？何のことだ？それよりも鈴鹿御前、今から詩でも＿＿」
「一つ、田村は妾の事を“鈴鹿御前”などと呼ばぬ」
Aの指摘に段々焦ったような表情をもらす田村であって田村でない者が「何のことだか」とシラをきる。Aは溜息を一つ吐くと、鞘から日輪刀を取り出し首筋に押し当てた。
頸動脈を問答無用で斬りつけたせいで辺りに鮮血が舞う。
「＿＿お前が田村の名を語るな。糞虫が」
＊＋＊＋＊
田村
鈴鹿御前の田村系の伝説において鈴鹿御前と契りを交した。という所から当時のAの夫として登場させています。名前は面倒くさいので田村と言う名字だけ。
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�桟鈬�(プロフ) - Ashleeさん» コメントありがとうございます！すみませんもう少しお待ちくださいませ💦 (2022年7月28日 9時) (
レス) id: 6e9456ced1 (このIDを非表示/違反報告)
Ashlee(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年4月16日 18時) (レス) @page22 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
月縹(プロフ) - ＃きのこさん» わー！ありがとうございます！気長に待って頂けたら嬉しいです(；；) (2021年10月2日 23時) (レス) id: 6e9456ced1 (このIDを非表示/違反報告)
＃きのこ - 更新頑張ってください('ω')ノ 応援しています。(≧▽≦) (2021年9月27日 21時) (レス) @page20 id: c964701d6c (このIDを非表示/違反報告)
�桟鈬�(プロフ) - 藍緋さん» ほんとうですか！？報告ありがとうございます！直しておきますね！ (2020年11月18日 7時) (レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
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