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「有馬、ここで待ってて」
「え、川上く、」
「職員室で上履き借りてくる」
「そんな、私、自分で、」
「そのままだと足、余計に冷えちゃうだろ？
職員室まで結構あるし、廊下冷たいし」
「や、でも、」
「有馬は良くても俺が無理」
くだらない
馬鹿らしい
そう思うのに、俺は声を上げる勇気なんかない
そうだ、、
偽善ってこう言うこと言うのか
汚いな、俺は、、
「か、川上くん、待って」
職員室に向かって歩き出した俺を
彼女は細い腕で引き止めた。
「ごめんなさい、、でも、ありがとう、、」
初めてちゃんと見た有馬の顔は
今にも泣き出しそうなか弱い女の子だった。
「、、何に謝ってんの？笑」
なぁ、有馬、それは何に対しての謝罪？
なんでそんな気丈でいられんの？
そんな泣きそうな顔で何強がってんの？
「あ、えと、、そだね、何に謝ってたんだろ」
ふははっと柔らかく笑う有馬の目尻には
零れ落ちはしない涙が少しだけ光っていて
俺には溜まり出した涙を
流させることは出来ないんだって
拭き取りそうになった右手を
グッと堪えることしかできなかった。
「じゃあ、ちょっと職員室行ってくる」
「、、ありがとう」
ぎこちなくも柔らかく笑う有馬を
ここ1週間で初めてちゃんと見た気がした。
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作者名：蒲公英 | 作成日時：2018年1月26日 4時
