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「、、み、くん」
遠くで有馬の柔らかい声がする。
あれ、、
俺、何してたっけ、、
「、、川上くん、」
「っん、」
「川上くん、起きた？」
「、、え、有馬、俺、」
「ふふっ、おはよう、川上くん」
和かに微笑む有馬の声で
寝てしまっていたことに気づいて
ハッとなって体勢を整えようと身体を起こすと
「あ、川上くん、あと2駅もあるから
まだ寝てても平気だよ？ 疲れたよね？」
なんて、慌てたように早口で話す有馬が
眉尻をしゅんっと垂らすのが見えた。
「もう2駅しかないじゃん笑」
「え、でも、川上くん、、疲れてるよね、、
その、ほら、、」
「ん、全然？」
俺がしたくてした事だから
疲労なんて微塵もないけど
そんな顔させる為にしたわけじゃないんだよな、、
でも、
「なぁ、有馬」
「ん？」
「しなくなったな」
「、、え？」
「ふはっ、キョトンとして笑
有馬気づいてないだろうけどさー、、」
気付いてなくたっていい
少しだけでも
有馬の中で何かが変わってくれたなら
ほんの少しでも
有馬の抱えてたものが楽になったなら
、、俺が動いた甲斐があるから
「俺と話す時、有馬、
ずっと謝ってばっかだったからさ」
「え、嘘、、」
「んははっ、嘘つくかっての笑」
「そ、そだよね、ご、」
「あー！！！
言った側から謝んなっての！笑」
未だにシュンっと顔を曇らせる有馬を覗き込んで
泳ぐ視線を捉えると「何か付いてる？」なんて
有馬はワタワタと慌てだして
「ふはっ、有馬、可愛いな」
自然と溢れた言葉に彼女は戸惑いながらも
顔を赤らめながら唇を尖らせて
「か、川上くんの可愛いは、易いんじゃない！？」
なんて不貞腐れ始めた。
易くなんかないけど
出会った頃よりもいろんな表情を見せる有馬に
愛おしいなって思うのは
、、いけない事なんだろうか
「俺、思ったこと言っただけです〜」
「なっ！ か、からかわないでよ！」
「からかってないっての笑」
なぁ、有馬、、
俺が寝てた間も
手、離さないでいてくれたことも
こうしてまだ繋いでいてくれてることも
俺、結構、、
嬉しいなって思ってるなんて
気付いてないんだろ、、？
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作者名：蒲公英 | 作成日時：2018年1月26日 4時
