...39.H ページ40
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「あーっ、ほんっと、洋平には
手を焼くというか何というか、、」
「ふはっ、ヒロ、保護者みたいね」
「えー、保護者って笑」
洋平が高梨達を捲し立てた後の教室は
動揺と嫉妬やら何やらで混沌としていて
何とか収集を付けたわけだけど
「洋平が、ね、、」
「、、ん、珍しい?のかは置いといて
あそこまで噛み付くのは久々に見た気がする」
「そうね」
少しだけ落ち着きを取り戻したクラスには
場を収めた俺らは何となく居づらくて
部室にまーくんと逃げ込んで
ぼんやりと天井を仰いでみたりしていて
洋平が有馬を気にかけてたのは
彼女が転校してきて直ぐだった。
席が隣になったってのもあるとは思うけど
洋平が目線の隅で彼女を捉えるようになったのは
有馬の噂が蔓延るようになってからだった。
俺も2、3度会話した程度ではあったけど
有馬は柔らかい物腰に受け応えも上手くて
ふわっと笑うのがよく似合う子だった。
だから俺自身も出回る噂には
多少の違和感を覚えてはいた。
「ヒロ」
ぼぉっと天井の染みを数えながら
ぼやぼやと考えていると
まーくんが欠伸を噛み殺しながら
俺の方に向き直った。
「ん? どしたの?」
「や、気にしてたから」
「、、え?」
「洋平と、有馬さんのこと」
「あー、、ん、まぁ、そうだね、、」
有馬が噂通りの子とは思わない。
でも、、
やっぱり、身近な人が
何かに巻き込まれるのは嫌だし、、
洋平が誰と何しようと
あいつの勝手ではあるけど、さ、、
「洋平は重ねてるのかもね」
あふっと大きい欠伸をしながら
まーくんは笑った。
「、、重ねるって、どういう、」
「や、これは俺よりも
ヒロの方が分かるでしょ?」
「っえ、」
「多勢から異物扱いされんの」
「っあー、、そういう、こと」
「ん、だから、たぶん、
否応無しで重なって見えちゃうんじゃない?」
「、、そうね、ん、洋平らしいね」
「うん、でも、そういうとこ分かるなら
もっと違うとこにも気を回して欲しいけどね」
「ふはっ、言えてる」
、、死ぬほど分かる
好奇な視線に背中を刺される感覚ほど
気持ち悪いものはない事ぐらい。
でも、あいつ
人の痛みにはアホみたいに敏感だから
洋平自身が壊れないといいけど、、
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作者名:蒲公英 | 作成日時:2018年1月26日 4時